コインに刻印された小さなアルファベットは「ミントマーク(造幣局マーク)」と呼ばれ、その硬貨がどこで鋳造されたのかを示す重要な手がかりです。銀貨に見られる「H」の刻印について、その意味と見分け方を詳しく解説します。
「H」はヒートン・ミント(バーミンガム造幣局)を意味する
銀貨に刻まれた「H」は、一般的にイギリス・バーミンガムにあった民間鋳造所「ヒートン・ミント(Heaton Mint)」で鋳造されたことを示します。ヒートン・ミントは19世紀半ば以降、カナダやニューファンドランドをはじめ、南米・アジアなどの各国政府から硬貨製造を請け負い、その際に「H」のマークを刻印しました。そのため、世界中のさまざまな銀貨に「H」の刻印が見られます。
注意:フィラデルフィア造幣局のマークではない
「アメリカ銀貨の『H』はフィラデルフィア造幣局の印」という説明を目にすることがありますが、これは誤りです。確かにフィラデルフィア造幣局は1792年に設立されたアメリカ最古かつ最大の造幣局ですが、同局で鋳造されたコインには「P」のマークが入るか、あるいはマーク自体が省略されるのが慣例であり、「H」が使われることはありません。モーガンダラーやピースダラーといった有名なアメリカの銀貨にも、「H」の刻印は存在しないため注意が必要です。
自分の銀貨を調べるためのポイント
手持ちの銀貨の「H」が何を意味するのかを特定するには、以下の点を確認しましょう。
- 発行国を確認する: コインの表面に記された国名や紋章から、どの国の硬貨かを特定します。
- 年号とデザインを見る: 発行年と意匠から、ヒートン・ミントが請け負っていた時期かどうかを判断できます。
- カタログや専門サイトで照合する: 世界硬貨カタログや信頼できる numismatic(貨幣学)関連サイトで、同じ年号・デザインの刻印一覧と照らし合わせます。
まとめ
銀貨の「H」刻印は、多くの場合イギリス・バーミンガムのヒートン・ミントによる鋳造を示すマークです。アメリカのフィラデルフィア造幣局は「P」または無刻印であるため、混同しないよう注意しましょう。発行国・年号・デザインを丁寧に確認することで、あなたの銀貨の歴史や価値をより深く知る手がかりになります。