ビクトリア朝時代(1837年~1901年)のイギリスでは、貧しい家庭が住む住宅は、手に入りやすく安価な材料を使って建てられるのが一般的でした。ここでは、当時の庶民の家によく使われた主な建材をご紹介します。
粘土と木材(コブ造り)
粘土、砂、わら、水を混ぜ合わせた「コブ」と呼ばれる素材が、壁材として広く使われていました。木製の骨組みにこの混合物を詰めたハーフティンバー(木組み壁)構造の家も数多く建てられました。
石材
農村部など地方では、石材が豊富に採れたため、石を積み上げた家が多く見られました。特に採石場の近くの地域では、石造りの住宅がごく一般的でした。
レンガ
都市部では土地が限られていたため、レンガ造りの家が人気を集めました。レンガは耐久性があり、大量生産も可能だったことから、労働者階級向けの長屋やテラスハウスにも広く採用されました。
スレートや波板金属(屋根材)
屋根にはスレートやトタンなどの波板金属が使われることが多かったです。また、ビクトリア朝時代の終わりまでは、わらを使った茅葺き屋根も地方で引き続き使用されていました。
石灰と砂のモルタル
室内の壁や天井の漆喰塗りには、石灰と砂を混ぜたモルタルが使用されました。さらに、石積みの壁において石同士をつなぐ接着材としても活用されていました。
このように、貧しいビクトリア朝時代の住宅は、地域で入手できる身近な材料を工夫して活用することで、低コストでありながら実用的な住まいを実現していました。