オーヴァル・フォーバス(Orval Faubus)は、1955年から1967年までアーカンソー州知事を務めたアメリカの政治家です。1957年の「リトルロック高校事件」で州兵を動員して学校の人種統合に抵抗したことで広く知られています。本記事では、彼の残した有名な発言を紹介し、その背景にある歴史的な文脈を解説します。
オーヴァル・フォーバスの主な発言
1. 中央政府への抵抗を示した言葉
「我々は、中央政府による違憲的な武力の行使に屈しない。」
連邦政府との対立姿勢を鮮明に打ち出した発言で、州の権限を重んじる立場を示しています。
2. 憲法擁護を誓った言葉
「私の立場は明確だ。憲法によって保障された権利を守るため、私の権限のすべてを尽くす所存である。」
自身の行動原理を「憲法の防衛」に置くことで、政治的正当性を主張しようとした言葉です。
3. 伝統的価値観を守ると訴えた言葉
「我々の人々の伝統的な価値観や制度を破壊しようとする者たちは、目的達成のためにあらゆる手段を用いるだろう。彼らは武力や暴力、威嚇をためらわない。」
社会変革に対する警戒心を訴え、支持者の不安を煽る効果を持つ発言でした。
4. 民衆の行動を促した言葉
「その土地の道徳律が侵されるとき、そこの人々が自らの信念を守るために立ち上がる時が来ている。」
市民一人ひとりに行動を呼びかける、扇動的な性格の強いメッセージです。
5. 急進勢力への警告
「急進右派が我が州に足場を築くことを許してはならない。彼らは我々の自由、生活様式、そして民主主義そのものに対する脅威である。」
政治的対立相手を「脅威」と位置づけ、危機感を共有させることで結束を図ろうとした発言です。
6. アーカンソー州民の権利を主張した言葉
「アーカンソー州民には、人種統合に抵抗し、子どもたちを強制的な人種混成の学校から守る権利がある。」
リトルロック高校事件における彼の立場を最も直接的に表した発言であり、後世に最も強く記憶されている言葉の一つです。
発言の歴史的背景
これらの発言の多くは、1957年のリトルロック高校事件に関連しています。当時、アメリカ合衆国最高裁判所は1954年のブラウン対教育委員会裁判において、公立学校での人種隔離を違憲と判断しました。しかしフォーバスはこれに反発し、黒人生徒9名(リトルロック・ナイン)の登校を阻止するために州兵を出動させました。
この対応を受けて、アイゼンハワー大統領は州兵を連邦化し、さらに陸軍第101空挺師団を派遣して登校を保護しました。これは南北戦争以来、初めての重大な連邦政府と州政府の対立となり、公民権運動史上の転換点となりました。
まとめ
オーヴァル・フォーバスの発言は、州の権限、伝統的価値観、そして人種統合をめぐる激しい時代の対立を映し出しています。彼の言葉は賛否両論を巻き起こしましたが、アメリカ史における公民権闘争の複雑さを理解するうえで重要な資料となっています。歴史を学ぶ際には、こうした一次的な発言に触れることで、当時の人々の感情や思想をより深く感じ取ることができるでしょう。