アンダーグラウンド・レイルロード(地下鉄道)とは
アンダーグラウンド・レイルロード(地下鉄道、Underground Railroad)は、19世紀半ば、南北戦争以前のアメリカ合衆国において、アフリカ系アメリカ人の奴隷たちが自由州やカナダへ逃れるのを助けるために築かれた、秘密の脱出経路と安全な隠れ家(セーフハウス)のネットワークです。実際の鉄道ではありませんが、「駅」「車掌」「乗客」といった鉄道にちなんだ隠語が用いられたことで知られています。
「乗客」――自由を求めた人々
1. 奴隷状態にあったアフリカ系アメリカ人
「乗客」の中心となったのは、奴隷制の束縛から逃れ、自由を手にしようとしたアフリカ系アメリカ人でした。
2. 自由身分のアフリカ系アメリカ人
自由身分のアフリカ系アメリカ人の中にも、このネットワークに参加し、奴隷状態にある同胞が自由へたどり着けるよう支援した人々がいました。
「車掌」――脱出を導いた人々
「車掌」と呼ばれたのは、逃亡者たちを一つひとつの「駅」から次の「駅」へと導き、自由への旅を支えた人々です。彼らの多くは奴隷制度廃止論者、反奴隷制団体のメンバー、そして自らの安全を顧みず逃亡者を助けた一般市民でした。主な「車掌」として以下の人物が挙げられます。
1. ハリエット・タブマン
自身も奴隷として生まれ、自由を勝ち取った後は「車掌」として名を馳せました。危険を冒しながら数多くの逃亡者を率いて自由へと導き、その姿から「モーセ」と呼ばれました。
2. フレデリック・ダグラス
元奴隷で著名な奴隷制度廃止論者。自宅を逃亡者の隠れ家として提供するなど、このネットワークを通じて多くの人々に助言と支援を与えました。
3. ウィリアム・スティル
フィラデルフィアで活躍した自由身分のアフリカ系アメリカ人。乗客や車掌たちの体験を日誌に詳細に記録し、後世に残る貴重な歴史資料を残しました。
4. リヴァイ・コフィン
クエーカー教徒の奴隷制度廃止論者で、最も著名な「車掌」の一人。3,000人以上の奴隷の脱出を助けたと伝えられています。
まとめ
アンダーグラウンド・レイルロードには、命がけでアフリカ系アメリカ人の自由を支援した、勇気ある無私の人々が関わっていました。彼らの貢献は奴隷制度廃止運動において極めて重要な役割を果たし、アメリカにおける奴隷制廃止への道を切り開くこととなりました。