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世界で最も長く続いた戦争はどれくらい?古代ギリシャのペロポネソス戦争に見る27年の激闘

「世界で最も長い戦争はどれくらい続いたのか」という問いに対して、古代史における代表的な例として挙げられるのが、スパルタとアテナイが覇権をかけて争ったペロポネソス戦争です。この戦争は紀元前431年に始まり、実に27年間も続きました。

ペロポネソス戦争とは

ペロポネソス戦争は、陸軍の強さで名高いスパルタを盟主とするペロポネソス同盟と、強大な海軍力と豊かな財力を誇るアテナイ率いるデロス同盟との間で繰り広げられた、古代ギリシャ最大規模の戦争でした。当時のギリシャ世界を二分する対立構図の中で、両陣営は互いに決定的な勝利を掴めないまま、長い消耗戦へと突入していきます。

27年に及んだ戦争の経緯

戦争は紀元前431年に始まりました。序盤、アテナイはペリクレスの方針のもと城壁内に籠城する戦術を採りましたが、市中に流行した疫病(ペスト)により人口の大部分を失うという深刻な打撃を受けます。その後も戦況は一進一退を繰り返し、紀元前421年には一時的な和平(ニキアスの和約)が結ばれたものの、対立は根本的に解消されませんでした。

紀元前415年からは、アテナイがシケリア(シチリア島)遠征に大規模な兵力を投入しますが、これは壊滅的な失敗に終わり、アテナイの国力は大きく損なわれました。この遠征の失敗が、戦争全体の転換点となったとされています。

アイゴスポタモイの海戦とアテナイの敗北

戦争の最終局面となったのは、小アジア沿岸のアイゴスポタモイで行われた海戦です。紀元前405年、アテナイ艦隊はスパルタ名将リュサンドロス率いる艦隊によって奇襲され、ほぼ全滅する大敗を喫しました。海上の覇権を失ったアテナイは包囲され、補給の途絶えた紀元前404年についに降伏。長きにわたった戦争はここに幕を下ろしました。

戦後、アテナイは長壁の撤去や艦隊の引き渡しなど厳しい条件を呑み、デロス同盟は解体。ギリシャの覇権はスパルタの手に移りました。しかし、この戦争で疲弊したギリシャ諸ポリスは後にマケドニア王国の台頭を許すことになり、古代ギリシャの歴史の大きな分水嶺となったのです。

歴史上の「長い戦争」の定義について

なお、「最も長い戦争」が何であるかは、停戦期間や宣戦布告の有無などをどう捉えるかによって変わります。例えば、イングランドとフランスが断続的に争った百年戦争(実際には116年間)、あるいはオランダとシリー諸島の間で平和条約が結ばれないまま1986年まで公式には継続していたとされる「335年戦争」など、ペロポネソス戦争より長いとされる事例もあります。それでも、記録に残る形で約27年間ほぼ継続的に戦われたペロポネソス戦争は、古代史において屈指の長期戦であり、歴史家トゥキュディデスによる詳細な記録でも知られています。