「アラモを忘れるな」は後世の創作?
1836年のサンジャシントの戦いといえば、「Remember the Alamo!(アラモを忘れるな!)」「Remember Goliad!(ゴリアドを忘れるな!)」という叫び声とともに語られることが多い。しかし、歴史的な記録を紐解くと、当時のテキサス軍の兵士たちは、この二つのフレーズを戦場で叫んではいなかったことがわかる。
実は、「アラモを忘れるな」「ゴリアドを忘れるな」という言葉が広く定着したのは、サンジャシントの戦いから数十年も後になってからのことである。人々の記憶の中で物語が形作られ、やがて伝説として語り継がれていったのだ。
実際に響き渡った鬨の声は「Come and take it!」
では、テキサス兵たちは何と叫びながら敵陣へ突撃したのか。同時代の歴史資料によれば、その答えは「Come and take it!(取りたければ来てみよ!)」だったという。
この言葉は、前年10月のゴンザレスの戦いでテキサス側が掲げた旗に描かれた標語としてもよく知られている。メキシコ軍に対して大砲の返還を拒んだテキサス人たちの不屈の精神を象徴する言葉であり、それが決戦の地サンジャシントでも鬨の声として用いられたのである。
歴史と伝説のあいだ
「アラモを忘れるな」というフレーズは、その後テキサス独立の象徴的なスローガンとなり、映画や小説を通じて世界中に知られるようになった。しかし、歴史の現場で実際に交わされた言葉を知ることは、出来事をより正確に理解するうえで欠かせない。伝説と史実の違いを意識することで、テキサス革命という激動の時代を、より深く味わうことができるだろう。