「斜面ピラミッド」という名前のピラミッドが本当に存在したのか、疑問に思う方は少なくありません。結論から言うと、公式に「斜面ピラミッド」と呼ばれるピラミッドは存在しません。しかし、この呼び方の由来と考えられる有名なピラミッドがあります。それが、エジプトのダハシュールにある「屈折ピラミッド(ベント・ピラミッド)」です。
屈折ピラミッドとは何か
屈折ピラミッドは紀元前2600年頃、古王国第4王朝のファラオ・スネフェルの時代に建てられました。最大の特徴は、下部が約54度という急な傾斜で造られている一方、途中から約43度と緩やかな傾斜へと変化している点です。外観がまるで「折れ曲がっている」ように見えることから、屈折ピラミッドと呼ばれています。
なぜ傾斜が途中で変わったのか
建設中に傾斜を変更した理由としては、当初の急すぎる傾斜では構造的に不安定となり、崩壊の危険があると判断されたためとされています。工期短縮を狙ったという説もあります。こうした試行錯誤を経て、後にギザの三大ピラミッドへとつながる「真のピラミッド」の建築技術が確立されていきました。
エジプトには数多くのピラミッドが存在する
エジプトには現在確認されているだけでも100基以上のピラミッドがあり、その中で最も有名なのがギザの大ピラミッド群です。クフ王、カフラー王、メンカウラー王の三代にわたり建造されたこれらの巨大建造物は、古代世界七不思議の中で唯一現存するものとして世界的に知られています。
ピラミッドが建てられた目的
ピラミッドはファラオの霊廟(れいびょう)として建てられました。古代エジプト人にとって、ファラオは死後に神となり永遠の命を得る存在であり、そのために壮大な墓が必要だったのです。太陽の光線を象徴する傾斜した形状には、天へと昇る王の魂への願いも込められていました。
このように「斜面ピラミッド」という名称のピラミッドは実在しませんが、傾斜の変化で知られる屈折ピラミッドや数あるエジプトのピラミッドの歴史をたどると、古代エジプト人の卓越した建築技術と深い信仰の姿が浮かび上がります。