南アメリカの歴史

第一次世界大戦でアメリカは戦車からどう身を守った?初期戦車の実態と対抗策

「第一次世界大戦に戦車はなかった」は誤解?

「第一次世界大戦には戦車が存在しなかった」という言説を目にすることがありますが、これは誤解です。むしろ第一次世界大戦こそ、戦車という兵器が初めて誕生し、実戦に投入された戦争でした。1916年9月、イギリス軍はソンム戦線のフルクールレットの戦いにおいて、世界初の実用戦車「マークI」を投入し、塹壕戦による膠着状態を打ち破る切り札として大きな注目を集めました。

開発当初、戦車は秘匿性を保つため「陸上艦(ランドシップ)」という名称で呼ばれていました。イギリスはマークIからV型までの一連の重戦車を運用し、フランスはシュナイダーCA1やルノーFT、ドイツはA7V、イタリアもフィアット2000などを開発・保有していました。

初期戦車の実力――期待外れだった理由

とはいえ、登場当初の戦車は決して完成された兵器ではありませんでした。主な問題点は以下の通りです。

  • 信頼性の低さ:エンジン故障や履帯の脱落が頻発し、投入された戦車の半数以上が戦闘前に立ち往生することも珍しくありませんでした。
  • 低速:時速数キロ程度しか出ず、歩兵の足並みとほぼ変わりませんでした。
  • 貧弱な装甲:小銃弾や榴散弾は防げても、野砲の直撃には耐えられませんでした。
  • 悪環境への脆弱さ:泥濘んだ地形にはまり込み、行動不能となるケースが後を絶ちませんでした。

アメリカ軍はどう戦車と向き合ったのか

1917年に参戦したアメリカは、自国製戦車の量産が実戦に間に合わず、前線ではフランス製のルノーFT軽戦車やイギリス製の重戦車(マークV、マークVIIIなど)を主に使用しました。つまりアメリカ軍は、戦車を味方につけて運用する一方で、ドイツ軍のA7Vのような敵戦車に対処する必要性にも迫られていたのです。

当時の主な対戦車手段

  • 野砲による直接射撃:最も確実な方法で、平射のできる野砲が事実上の対戦車砲として活躍しました。
  • 徹甲弾(K弾):通常の小銃から発射できる鋼心入りの弾丸で、薄い装甲を貫通できました。
  • 集束手榴弾・爆薬:戦車に接近し、履帯やハッチに投げつける肉薄攻撃が行われました。
  • 地雷・障害物・地形の活用:広く深い塹壕や逆斜面、有刺鉄線などで戦車の進路を阻みました。

まとめ

第一次世界大戦は戦車誕生の舞台でありながら、当時の戦車はまだ未熟で、その脅威は限定的なものでした。アメリカ軍をはじめとする各国軍は、野砲の直接射撃や徹甲弾、手榴弾、地形の工夫といった比較的原始的な手段でも十分に対処できました。本格的な対戦車戦術や専用火器が発展するのは、戦車が大幅に進化した第二次世界大戦以降のことなのです。