17世紀から18世紀初頭にかけて、北アメリカ東部に建設されたイギリスの南部植民地(バージニア、メリーランド、南北カロライナ、ジョージアなど)は、温暖な気候と肥沃な土地、広大な森林に恵まれていました。これらの天然資源は、タバコや藍などの換金作物の栽培、毛皮貿易、造船用材木の輸出など、植民地経済の基盤となりました。ここでは、当時の南部植民地が持っていた主要な天然資源をカテゴリー別にご紹介します。
農作物
温暖な気候と長い生育期間を活かし、南部植民地では多様な作物が栽培されました。特にタバコ、米、藍は「三大換金作物」と呼ばれ、ヨーロッパへの輸出によって大きな富をもたらしました。
- タバコ(バージニア植民地の主力作物)
- 米(低湿地帯でのプランテーション栽培)
- 藍(染料として高く輸出された)
- 綿花
- 小麦
- 大麦
- オート麦(燕麦)
- トウモロコシ(主食用の重要な穀物)
森林資源
南部植民地は広大な原生林に覆われており、木材は造船、建築、樹脂・タールの生産などに不可欠な資源でした。特にオーク材は船体の建造に重宝され、イギリス海軍にとって重要な供給源となりました。
- ホワイトオーク(白樫)
- リーブオーク(常緑樫)
- セダー(杉・ヒノキ類)
- パイン(松)
- サイプレス(沼杉)
- ヒッコリー
- アッシュ(トネリコ)
- メープル(楓)
- ウォールナット(胡桃)
- ポプラ
鉱物資源
南部植民地の地下には、金属鉱物から建材用の岩石まで、さまざまな鉱物が埋蔵されていました。鉄鉱石は道具や武器の製造に使われ、大理石や花崗岩などの石材は建築資材として利用されました。
- 鉄鉱石
- 銅
- 鉛
- 金
- 銀
- 大理石
- 花崗岩
- 粘板岩(スレート)
- 石灰岩
野生動物
未開拓の森と湿地には豊富な野生動物が生息しており、その肉は食料として、毛皮や皮革はヨーロッパ向けの重要な交易品として利用されました。特にビーバーの毛皮は帽子の材料として高い需要がありました。
- オジロジカ(鹿肉と革の供給源)
- クロクマ(アメリカ黒熊)
- オオカミ
- イノシシ
- バイソン(野牛)
- ワピチ(エルク)
- ビーバー(毛皮貿易の中心的存在)
- ジャコウネズミ(マスクラット)
- アライグマ
- オポッサム
魚介類
大西洋沿岸の海域やチェサピーク湾などの豊かな水域は、優れた漁場でした。魚は干物や塩蔵品として保存され、植民地内の食料となるだけでなく、輸出品や奴隷の食料としても取引されました。
- タラ(鱈)
- コダラ(ハドック)
- スケソウダラ(ポロック)
- カレイ・ヒラメ類
- シマスズキ(ストライプドバス)
- パーチ(スズキ類)
- カキ(牡蠣)
- ハマグリ・アサリ類
- エビ
- カニ
まとめ
1600年代から1700年代初頭の南部植民地は、農業・林業・鉱業・狩猟・漁業というあらゆる分野において恵まれた環境にありました。こうした豊富な天然資源こそが、プランテーション経済の発展と大西洋世界との交易を支え、後のアメリカ南部の社会構造を形作る基礎となったのです。