古代の歴史

「特殊な制度」とは何だったのか?――南北戦争前アメリカ南部における奴隷制の呼称

「特殊な制度(ザ・ペキュリア・インスティテューション)」とは、南北戦争以前のアメリカ南部における奴隷制を指して用いられた呼称です。

この言葉は、奴隷制の擁護者と反対者の双方によって使われた点が特徴的です。最初にこの表現を用いたのは1770年のことで、廃奴主義者であるベンジャミン・ラッシュ(Benjamin Rush)によるものでした。

ここでいう「特殊(peculiar)」という語は、侮蔑的なニュアンスではなく、あくまで記述的な意味合いで使われていました。つまり、南部の奴隷制が、北部諸州における自由労働体制といかに異なる独特な存在であったかを表す言葉だったのです。

一方で、奴隷制擁護派もまたこの言葉を活用しました。彼らは、奴隷制をアフリカ系の人々や南部の農業経済に適した、独自かつ有益な制度であるとして正当化する際に、「特殊な制度」という表現を用いたのです。