ヒエログリフの総数は約5000種類
古代エジプトで使用されたヒエログリフ(聖刻文字)は、その長い歴史の中で確認されているだけで約5000種類に及びます。しかし、これらすべてが日常の筆記体系で頻繁に使われていたわけではありません。
実際に使われたのは数百種類程度
碑文や公式文書に用いられた代表的な文字は数百種類にとどまり、書記たちが日々の業務で習得していたのはおおよそ700〜800字ほどだったと考えられています。時代や用途によって、実際に使用される文字の数は変動していました。
日常の筆記には「神官文字」を使用
パピルスへの日常的な筆記には、ヒエログリフを簡略化した筆記体である「ヒエラティック(神官文字)」が主に使われました。さらに後期には、より崩し書きに発展した「デモティック(民衆文字)」も登場し、行政文書や商取引などで広く利用されました。
書記になるまでの厳しい訓練
書記になるためには、幼少期から長年かけて大量の文字を暗記し、正確な書き方を反復訓練する必要がありました。識字率が極めて低かった古代エジプト社会において、書記は高い社会的地位と安定した収入を得られるエリート職であり、多くの親が子どもを書記学校へ通わせることを望んだといわれています。