ノン・ヒン・タン遺跡の概要
ノン・ヒン・タンは、タイ東北地方(イサーン)に位置する考古遺跡です。周辺は上流から運ばれた堆積物によって形成されたなだらかな平野で、現在は田畑が広がる農業地帯となっています。この地では歴史時代(ドヴァラヴァティ期~クメール期)の宗教的な遺物が確認されており、中でもピンク色の砂岩で作られた立方体状の彫刻台座が大きな注目を集めています。
地形と立地環境
遺跡周辺の地形は、主に上流からの堆積作用によって形成された平野です。現在は水田や畑など、農耕と園芸の両方が盛んに行われています。
付近には小さな天然の水路が二つあります。一つは遺跡の南方約500メートル、もう一つは北方約650メートルの地点を流れ、それぞれ北西方面へ約8キロメートル流下した後、最終的にチー川へと合流します。
標高
平均海面からの標高は199メートルです。
水系
主要な水路はチー川(メーナム・チー)です。
地質条件
当地域の地質は、白亜紀に属するマハーサーラカム累層(Mahasarakham Formation – KTms)の岩塩層から構成されています。
考古学的時代と遺跡の種別
- 時代: 歴史時代
- 種別: 宗教に関わる場所(宗教遺跡)
考古学的意義
考古学的遺物は、井戸の縁と住民の農地との間にある土手の上、大きな木の下で発見されました。発見地点の周囲には低木や枯れ葉が堆積しています。
遺物はピンク色の砂岩製で、以下の特徴を持つ立方体状の石材1個です。
- 寸法:幅60センチメートル × 長さ60センチメートル × 高さ35センチメートル
- 上部から底部まで貫通する中央の孔(直径約10センチメートル)
- 石材中央部を横断する3本の溝
- 表面全体に見られる古代の石造装飾の風化痕跡、および近代の人為的な採石(石割り)の痕跡
さらに興味深いことに、この石の根元には小さな祠(ほこら)が設けられており、今日に至るまで地元の人々の信仰の対象となっていることがうかがえます。
推定される性格と年代
その形状から、この石材は仏像などの彫像を安置するための彫刻台座であったと考えられます。年代は、ドヴァラヴァティ期からクメール期にわたる歴史時代に位置づけられます。
住民への聞き取り調査によれば、この台座は現在の場所で古くから知られており(少なくとも数十年以上)、村民たちもこの周辺から石製の出土品や彫像を数多く掘り出してきたといいます。これらのことから、ノン・ヒン・タン一帯はかつて重要な宗教的中心地として機能していた可能性が高いと考えられます。