ユネスコは2017年7月12日まで、新たな物件を世界遺産リストへ登録する審議を行っています。
この約4万年前に制作された象牙製の「ヴィーナス像」は、知られている限り最古の人間の表現です。ドイツ・シュヴァーベン・ジュラ地方の洞窟群のひとつ、ホーレンフェルスで発見されました。この洞窟群は今年、世界遺産リストに登録されました。
脚光を浴びる先史時代
ドイツ南部に位置するシュヴァーベン・ジュラ地方の6つの洞窟が、ユネスコ世界遺産リストに新たに名を連ねることになりました。これにより、アーグラのタージ・マハル(インド)やマチュピチュ(ペルー)をはじめ、1976年の世界遺産委員会創設以来登録されてきた1,070件の物件の仲間入りとなります。2008年には、このうちのひとつホーレンフェルス洞窟で、人類最古の像が発見されました。マンモスの象牙を彫って作られた「ヴィーナス」小像で、その年代は約4万3000年前と推定されています。この彫刻の後には、洞窟ライオンや馬、マンモスをかたどった小像が続き、さらに世界で出土した中でも最古級の楽器や装飾品も見つかっています。
フランス領ポリネシア、ライアテア島にあるタプタプアテアのマラエ(聖なる祭祀場)。© F.Buffetrille/Leemage/AFP
こうした旧石器時代の宝物に加えて、フランスにとっては、ソシエテ諸島ライアテア島の聖地タプタプアテアも今年登録されました。ポリネシア文明の揺りかごとされる壮大な祭祀センターです。また、ストラスブールの「ノイシュタット(新市街)」も、ネオゴシック様式やアール・デコ様式の建築物とともに登録対象となり、フランスの世界遺産登録数は合計42件となりました。
トルコ、古代都市アプロディシアスのテトラピュロン(記念門)の遺構。© Leemage
2017年の新規登録リストには、ほかにも実に多様な物件が含まれています。カンボジアでは、チェンラ王国(5〜7世紀)の都イシャーナプラ、すなわち前アンコール朝期の王都サンボー・プレイ・クックの神殿群。現在のトルコに位置する紀元前3世紀の古代都市アプロディシアス。イランのエスファハーン近郊にあり、伝統的な灌漑システム「カナート」のネットワークで知られる歴史都市ヤズド(古代イサティス)。15世紀の城塞都市アーメダーバード(インド)。そして1941年までイタリア植民地であったエリトリアの首都アスマラにおける20世紀初頭のモダニズム建築群などです。
イラン、エスファハーン近郊のヤズド旧市街。© Tibor Bogmar/Photononstop
波乱含みの審議
しかし、すべてが順調に運んだわけではありません。チベット支援活動家たちは、当地に暮らすチベット系遊牧民の移住を懸念して批判を展開しましたが、ユネスコは2017年7月7日、中国青海省に位置し世界最高所の高原である青海可可西里(チンハイ・ホーシル)を、世界遺産の「保護地域」として認定しました。同様に、ヨルダン川西岸南部のヘブロン旧市街については、世界遺産リストと「危機にさらされている世界遺産リスト」の両方に同時登録され、外交的な攻防を巻き起こしました。イスラエル政府はこの登録を「組織の政治化」であり、ユダヤ人とヘブロンとの千年にわたる結びつきの否定だと受け止め、強く反発しています。2016年にも両者の衝突が発生しており、当時のユネスコ事務局長イリナ・ボコバ氏の介入を要する事態となりました。
2017年7月2日からポーランド・クラクフで開かれている世界遺産委員会は、7月12日までに37件の新規登録について決定を下す予定です(全登録物件のマップはこちら:https://whc.unesco.org/fr/list/)。
審議の模様は、以下のリンクからライブ配信でご覧いただけます: