考古学的発見

ロアノーク植民地の謎――なぜ入植者たちは忽然と消えたのか?

ロアノーク植民地の運命は、歴史に残る最大級の未解決ミステリーの一つとして、今もなお語り継がれています。

アメリカ初のイギリス人入植地

ロアノーク植民地は、後のアメリカ合衆国となる土地に建設された、最初のイギリス人入植地です。1585年、現在のノースカロライナ州沖に浮かぶロアノーク島に設立されました。

この植民地には、アメリカ大陸で生まれた最初のイギリス人子どもとされるヴァージニア・デアをはじめ、男女あわせて100名以上が暮らしていたと伝えられています。

「CROATOAN」という唯一の手がかり

植民地が存続できなかったことを示す証拠が残されています。1590年、補給任務でロアノーク島を訪れた船団が到着したとき、そこにはすでに入植者の姿はありませんでした。

彼らの行方を示す唯一の手がかりとなったのが、木の柱に刻まれていた「Croatoan(クロアトーン)」という文字です。この文字は、近隣のクロアトーン族の居住する島の名前を指していると考えられていますが、真意はついに解明されていません。

考えられる消滅の理由

ロアノーク植民地の消失については、以下のような複数の仮説が提唱されています。

1. 先住民族との紛争

入植者たちが先住民アメリカ人の攻撃を受け、殺害されるか、島から追い払われた可能性があります。

2. 飢饉

食料が底をつき、飢えによって命を落としたという説です。厳しい環境の中で安定した食料供給を確保するのは困難だったと考えられます。

3. 疫病

流行り病が入植者全体を襲い、壊滅的な打撃を与えた可能性もあります。

4. 集団移住

より住みやすい土地を求めて、入植者たちが自発的に島を去ったという説です。「Croatoan」の文字は、移住先を仲間に知らせるための合図だったのかもしれません。

5. 先住民族への同化

一部の入植者が近隣の先住民族の部族に受け入れられ、その社会に溶け込んで生きていったという説もあります。実際、後の時代に青い目を持つ先住民の子孫がいたと報告されたこともあり、この説を裏付ける逸話として語られることがあります。

400年以上経っても解けない謎

結局のところ、ロアノーク植民地がなぜ、どのようにして消滅したのか、その真相は今日まで謎のままです。

考古学的調査や文献研究が続けられているものの、「失われた植民地」と呼ばれるロアノークの完全な謎解きには至っていません。この不可思議な消失事件は、アメリカ史における永遠のミステリーとして、人々の想像力を掻き立て続けているのです。