アウシュヴィッツ複合施設の概要
アウシュヴィッツ強制収容・絶滅収容所は、ナチス・ドイツが運営していた期間中、それぞれ特定の目的を持つ数多くの建物や部屋で構成された巨大な複合施設でした。全体は大きく分けて以下の3つの主要区域に分けられていました。
- アウシュヴィッツI(本収容所)
- アウシュヴィッツII(ビルケナウ)
- アウシュヴィッツIII(モノヴィッツ)
以下では、各区画に存在した代表的な建物とその機能を紹介します。
1. アウシュヴィッツI(本収容所)の主な建物
- 第一火葬場(クレマトリウムI):ガス室と火葬炉を備え、大量殺戮に使用されました。戦後は博物館の一部として保存・公開されています。
- 第10ブロック:ヨーゼフ・メンゲレ医師らによって、囚人を対象とした非人道的な医学実験が行われた建物です。
- 第11ブロック(「死のブロック」):懲罰ブロックとして知られ、飢餓牢(スターセル)や立ち牢など、過酷な懲罰用の独房が設けられ、多くの囚人がここで監禁・処刑されました。
- 「黒い壁」(黒壁):第10ブロックと第11ブロックの間に位置する処刑場で、多数の囚人が銃殺されました。
2. アウシュヴィッツII(ビルケナウ)の主な建物
- 第二火葬場(クレマトリウムII):ガス室と火葬炉を併設
- 第三火葬場(クレマトリウムIII):ガス室と火葬炉を併設
- 第四火葬場(クレマトリウムIV):ガス室と火葬炉を併設
- 第五火葬場(クレマトリウムV):ガス室と火葬炉を併設(一部未完成のまま)
これらの火葬場群は、ホロコーストにおける大量虐殺の中核となる施設でした。
- サウナ(カナダ・コマンド):新たに到着した囚人の登録と選別が行われ、所持品が没収された場所です。なお「カナダ」とは、豊かさの象徴として囚人たちが呼んだ、衣類や財産の保管区域の通称でした。
3. アウシュヴィッツIII(モノヴィッツ)の主な施設
- ブーナ工場(Buna Werke):化学企業IG・ファルベン社が運営する合成ゴムおよび合成燃料の工場で、多数の囚人が過酷な強制労働に従事させられました。
おわりに
アウシュヴィッツ複合施設は非常に広大であり、上記以外にも無数のバラック(宿舎)、管理棟、倉庫などの建物が各区画内に存在していました。そのため、すべての部屋や建物を網羅的に列挙することは困難です。現在、この地はアウシュヴィッツ=ビルケナウ博物館として保存され、ホロコーストの記憶と教訓を後世に伝える重要な役割を果たしています。