リンカーン・ジョンソンの復興観における重要な前提
エイブラハム・リンカーン大統領、そして彼の死後にその路線を引き継いだアンドリュー・ジョンソン大統領による復興(レコンストラクション)政策の根底には、一つの重要な前提がありました。それは、「南部諸州は法的には連邦(合衆国)から脱退したことが一度もない」という考え方です。
この前提に基づけば、南北戦争中の南部諸州は、反乱勢力の支配下に置かれていたとしても、法的な存在としては消滅しておらず、依然として連邦の一員であり続けていたことになります。
しかし同時に、南部諸州の市民たちは、反乱状態にあった期間を含めて、引き続きアメリカ合衆国の法律に対する政治的服従の義務を負っているものとみなされました。
この前提が持っていた意味
この「脱退は無効である」という法理論は、戦後の復興の進め方に大きな影響を与えました。州そのものが連邦内に存続している以上、連邦へ「再加盟」させる手続きは必要ではなく、各州が一定の条件(合衆国憲法の批准や忠誠の誓いなど)を満たせば、比較的短期間で連邦への復帰を認めるという穏健な復興路線につながったのです。
また、この理論は、合衆国憲法の枠組みにおいて州が一方的に連邦を離脱する権利を持たないという立場を確認するものでもあり、後の合衆国の国家統一の法理にも深く関わる重要な原則となりました。