はじめに
古代エジプト美術は、宗教とファラオの権威が深く結びついた独自の様式を持ち、数千年の時を経てもなお多くの人々を魅了し続けています。本記事では、カルナック神殿、ギザの大ピラミッド、「死者の書」といった重要なテーマに関する演習問題を4問取り上げ、それぞれに丁寧な解説を付けました。入試対策や歴史学習の復習に、ぜひお役立てください。
問題1:カルナック神殿はいつ、誰のために建てられた?
下の写真は、エジプトのルクソールにあるカルナック神殿の入り口に施された彫刻です。

カルナック神殿の彫刻
カルナック神殿群が建設された背景として正しいものを、次のうちから選びなさい。
a) 中王国時代(紀元前2000年〜紀元前1580年)に建てられ、すべてアヌビス神だけに捧げられた。
b) ファラオの時代より前、紀元前5000年頃にシュメールの影響を受けて建設された。
c) ヘレニズム時代に建てられ、アレクサンドロス大王とともにエジプトへ伝わったギリシャの神々に捧げられた。
d) 新王国時代(紀元前1580年〜紀元前1085年)に属し、中でも最重要の神殿はアメンラー神に捧げられた。
e) 古王国時代(紀元前3200年〜紀元前2300年)に建てられ、すべてホルス神だけに捧げられた。
問題2:エジプト美術の特徴(UFMS)
エジプト美術について、次の記述のうち誤っているものを選びなさい。
a) エジプト建築の偉大な表現としては、壮麗な宗教的神殿、ピラミッド、地下墳墓(ヒポゲウム)、マスタバが挙げられる。
b) 絵画では、人物の目と肩は横向き(側面)で描かれ、それ以外の身体は正面で表現された。
c) エジプト彫刻は主として宗教的な性格を持っていた。墓室に納める目的で彫られた像は数多く存在し、石や木を彫って作られる棺(サルコファガス)において最高の発展を遂げた。
d) エジプト文化は、宗教とファラオの政治的支配によって深く規定されていた。この二つの要素は、芸術(建築・彫刻・絵画・文学)や科学活動に大きな影響を及ぼした。
e) 階調(グラデーション)、色調の混合、明暗法(キアロスクーロ)は用いられなかった。
問題3:ゴンブリッチの一節が指し示す建造物
次の文章を読みなさい。
[...]いずれにせよ、彼らはあなたの聖なる肉体を腐敗から守ろうとした。エジプト人は、魂が来世において生き続けるためには肉体が保存されなければならないと信じていたのだ。だからこそ彼らは、入念な防腐処理と亜麻布による包帯という方法によって、死体の崩壊を防いだのである。(GOMBRICH, E.H.『美術の歴史』第16版、アルヴァロ・カブラル訳、リオデジャネイロ:LTC、1999年、55頁)
この文章が言及するのは、エジプト文明にとって極めて壮大かつ重要な建造物群です。それは何でしょうか。
a) アレクサンドリア図書館
b) タージ・マハール
c) ギザの谷の大ピラミッド
d) ヴァシュティ女王の神殿
e) ハリカルナッソスの霊廟
問題4:エジプト絵画の分析(UFSCAR/SP)
次の画像を分析しなさい。

エジプト絵画
この画像が表現しているものとして正しいのはどれか。
a) ヒッタイト人の日常生活の場面で、エジプト人と取引した品物の重さを量っているところ。
b) ファラオの捕虜であったモーセが、ヘブライ民族解放の夢を見た場面。
c) 古代エジプト人にとっての世界の始まりを描いたもので、天空と星の女神ヌートが、大気の神シュウに向かって自らの勝利を宣言しているところ。
d) 「死者の書」の場面で、右にオシリス、中央にアヌビスが位置し、死者の心臓を量ってその生前の行いを審判しているところ。
解答と解説
問題1:正解はD
カルナック神殿群は、エジプト美術を代表する最も名高い記念碑的建造物の一つです。神殿の建築構造から彫刻に至るまで、複合施設全体が驚くほど良好な状態で保存されています。中心となる大神殿で執り行われていた祭祀は、アメンラー神に捧げられたものでした。このアメンラー神殿は全長100メートルを超え、象形文字の銘文が刻まれた130本以上の巨柱が立ち並ぶ大列柱室でよく知られています。
問題2:正解はB
エジプト絵画の最大の特徴は、「正面性」と「側面性」を組み合わせた独特の表現様式にあります。頭部・腕・脚は横向き(側面)で描かれる一方、目と肩は正面を向いて描かれます。選択肢Bはこの関係を逆に述べているため、誤りとなります。この技法は、人体をより効果的に表現するため(例えば足は正面よりも横向きの方が自然に見える)、さらに絵画を見る者に動きや動作の感覚を伝えるために採用されました。
問題3:正解はC
ゴンブリッチの一節が言及しているのは、カイロ近郊のギザに位置する大ピラミッド群です。中でも有名なのが、クフ(ケオプス)、カフラー(ケフレン)、メンカウレの三大ピラミッドです。興味深いことに、これらの巨大な霊廟は、古代エジプト人が持っていた卓越した天文観測能力をも物語っています。上空から見下ろすと、三大ピラミッドはオリオン座の「オリオンのベルト」、すなわち同星座を形作る三つの主要な星と完全に一直線に並んで配置されているのです。
問題4:正解はD
「死者の書」は、古代エジプト文明を知る上で最も重要な文献の一つです。そこに記された儀礼に関わる主要な神々として、イシス、ホルス、オシリス、アヌビスの四柱が挙げられます。「死者の書」の翻訳が初めて出版されたのは1842年のことで、ドイツ語版として刊行されました。この事業を成し遂げたのは、ドイツのエジプト学者カール・リヒャルト・レプシウスです。
まとめ
エジプト美術の学習では、建築・彫刻・絵画それぞれの形式的な特徴と、その背後にある宗教観・死生観をセットで押さえることが重要です。本記事の問題を繰り返し解き、正答の根拠となる解説のポイントをしっかりと理解しておきましょう。