歴史クイズ

トーマス・ジェファーソンは州間橋の建設に「エラスティック条項」を使ったのか?

結論:ジェファーソンがエラスティック条項で州間橋を建設した事実はない

トーマス・ジェファーソンがエラスティック条項(Elastic Clause)を根拠に州間橋を建設したという事実はありません。そもそも、ジェファーソンが大統領を務めた時期(1801年〜1809年)には、州と州を結ぶ「州間橋(interstate bridge)」自体が存在していなかったのです。

エラスティック条項とは何か

エラスティック条項は、正式名称を「必要かつ適切な条項(Necessary and Proper Clause)」といい、合衆国憲法第1条第8節18項に定められています。この条項は、連邦議会に対し、列挙された権限を執行するために「必要かつ適切な」すべての法律を制定できる柔軟な権限を与えるものです。

条文そのものは抽象的なため、解釈次第で連邦政府の権限を大きく広げることも縮小することもできました。この伸縮性から「エラスティック(弾力のある)条項」と呼ばれるようになったのです。

初めて適用したのはアレクサンダー・ハミルトン

エラスティック条項を初めて本格的に援用したのは、建国初期の政治家アレクサンダー・ハミルトンです。彼は1791年に合衆国第一銀行(First Bank of the United States)を設立する際、憲法本文に国立銀行の設立権限が明記されていないことへの反対論を抑えるため、この条項を根拠として銀行創設を正当化しました。

興味深いことに、当時この解釈に強く反対したのがトーマス・ジェファーソン自身でした。ジェファーソンは憲法に明文化されていない権限まで連邦政府が持つべきではないと主張する「厳格構成主義」の立場を取っており、ハミルトンの幅広い憲法解釈とは鋭く対立していたのです。

まとめ

ジェファーソンが州間橋の建設にエラスティック条項を利用したという話は史実ではなく、むしろ彼はこの条項による権限拡大に批判的だった人物です。エラスティック条項を最初に活用したのはハミルトンであり、その目的も橋の建設ではなく合衆国第一銀行の設立を正当化することにありました。