一般投票では最多得票なのに、大統領の座を逃した二人
アメリカ大統領選挙の歴史には、国民の総得票数(一般投票)で最多得票を獲得しながらも、選挙人団の仕組みによって大統領になれなかった人物がいます。その代表例が、民主党のアル・ゴア氏とヒラリー・クリントン氏です。
2000年:アル・ゴア vs ジョージ・W・ブッシュ
2000年の大統領選挙では、民主党候補のアル・ゴア氏が一般投票で約54万票差と、共和党のジョージ・W・ブッシュ氏を上回りました。しかし、フロリダ州での僅差による再集計問題などが影響し、選挙人獲得数ではブッシュ氏が271対266で優勢となり、ゴア氏は敗北しました。
2016年:ヒラリー・クリントン vs ドナルド・トランプ
2016年の大統領選挙でも同様の現象が起こりました。民主党候補のヒラリー・クリントン氏は、一般投票で約290万票差という歴史的な大差でドナルド・トランプ氏をリードしていました。しかし、ペンシルベニア州やミシガン州、ウィスコンシン州といった激戦区で敗れたことが響き、選挙人獲得数ではトランプ氏が304対227と大きく上回り、クリントン氏は大統領の座を逃しました。
なぜ一般投票で勝っても負けるのか?
アメリカの大統領選挙は、国民による直接投票ではなく「選挙人団」という間接選挙制度によって決まります。各州に選挙人が割り当てられており、ほとんどの州では勝者がその州の選挙人をすべて獲得する「勝者総取り」方式が採用されています。そのため、全国の合計得票数で勝っていても、人口の多い重要な州で敗れると、選挙人数で逆転される可能性があるのです。
実は歴史上、1876年のサミュエル・ティルデン氏や1888年のグローヴァー・クリーブランド氏など、一般投票で勝利しながら選挙人投票で敗れた例は他にも存在します。この制度の是非については、現在でもアメリカ国内で活発な議論が続いています。