結論から言うと、1909年VDBリンカーン1セント硬貨には、いかなる種類のミントマーク(造幣局刻印)も存在しません。表面・裏面のどちらにも探しても見つからないのです。
なぜミントマークがないのか?
この理由は、流通用に鋳造された1909年のリンカーン1セント硬貨が、すべてフィラデルフィア造幣局で生産されたことにあります。当時のフィラデルフィア造幣局は本局であり、自局で製造した硬貨にミントマークを刻印する慣習がなかったためです。
「VDB」の文字はミントマークではない
多くのコレクター初心者が混乱するポイントですが、硬貨の裏面(リバース)下部、小麦の穂(ウィート・イヤー)の間に刻まれている「VDB」の文字はミントマークではなく、デザイナーのイニシャルです。
VDBとは、リンカーン1セント硬貨をデザインした彫刻家ヴィクター・デヴィッド・ブレナー(Victor David Brenner)の頭文字を取ったものです。1909年の初年度発行分にのみ刻印され、後に批判を受けて同年中に削除されました。そのため、VDB入りはごく短期間しか生産されず、収集価値が高くなっています。
見分け方のポイント
・1909 VDB:ミントマークなし(フィラデルフィア造幣局製)
・1909-S VDB:年号の下に「S」のミントマークあり(サンフランシスコ造幣局製・極めて希少)
・1909(無印):VDBの文字なし(フィラデルフィア造幣局製)
もし手元の硬貨の年号の下に「S」があれば、それはサンフランシスコ造幣局製の「1909-S VDB」であり、コレクターズ市場では非常に高い評価対象となります。一方、「S」がなければフィラデルフィア製のため、ミントマークは存在しないと考えて間違いありません。