航海法(Navigation Acts)は、17世紀のイングランドが自国と植民地との間の貿易を管理するために定めた一連の法令です。その背景には重商主義の考え方があり、イングランドの商船隊と国内産業を保護しながら、当時海上貿易で強大な力を持っていたオランダなどの外国勢力を排除することが狙いでした。
航海法に定められた主な規定
航海法には、イングランドとその植民地の間の貿易に関して、以下のような規定が盛り込まれていました。
1. 植民地への輸入品はイングランド船に限定
植民地に輸入されるすべての商品は、イングランド船によって運ばれることが義務付けられました。
2. 植民地からイングランドへの輸出品もイングランド船のみ
植民地からイングランドへ輸出されるすべての商品についても、同様にイングランド船での輸送が求められました。
3. ヨーロッパ諸国からの商品はイングランド経由が必須
その他のヨーロッパ諸国から植民地へ届けられる商品は、まずイングランドに陸揚げされ、そこから改めて植民地へ再輸出されることが定められていました。この仕組みにより、イングランドは中継貿易による利益を独占できるようになりました。
4. 外国船との直接貿易の禁止
外国船が植民地と直接取引することは一切認められておらず、植民地貿易はイングランドの手厚い管理下に置かれました。
航海法の意義と影響
これらの厳格な規定により、イングランドは植民地貿易をほぼ完全に自国のコントロール下に収めることに成功しました。しかし一方で、自由な貿易を制限された植民地側の不満は次第に高まっていきました。こうした経済的な抑圧は、やがてアメリカ独立革命につながる重要な要因の一つとなったとされています。