1918年にアメリカで支払われた所得税の最高税率は77%で、これは最も所得の高い層に適用されました。この異例なほど高い税率は、第一次世界大戦中に戦費を調達する目的で制定された「1918年歳入法」によるものです。
1918年に所得税率がこれほど高かった7つの理由
1. 第一次世界大戦の戦費調達
アメリカは1917年に第一次世界大戦へ参戦し、未曾有の財政需要に直面しました。政府は軍事作戦、兵員動員、武器生産など、膨大な戦時経費を賄うための資金を緊急に調達する必要がありました。
2. 従来の歳入源では不十分だった
関税などの従来型の歳入だけでは、戦争がもたらす巨額の出賄うには到底足りませんでした。そのため、政府は新たな資金調達手段として所得税への依存を大幅に強めることになりました。
3. 政府支出の急増
世界的規模の戦争を遂行するコスト──兵力展開、輸送、食料供給、軍需品の生産など──により、政府支出はそれまでの常識を超える水準へと跳ね上がりました。
4. 高所得者への累進課税
1918年歳入法は累進課税制度を導入し、所得が高い人ほど収入に対して高い割合の税金を支払う仕組みとしました。この政策は、戦争費用の負担を社会の各層に公平に分散させながら歳入を確保できる、公正な方法であると考えられていました。
5. 超過利潤税の導入
高い所得税率に加えて、同法には超過利潤税も盛り込まれました。これは戦争中に異常に高い利益を上げた企業を対象としたもので、企業側にも戦争努力への応分の貢献を求める狙いがありました。
6. 愛国心と戦時世論の後押し
第一次世界大戦中は強い愛国心と道義的責任感が国民の間に広がっていました。多くの富裕層は、国防への貢献手段として重い税負担をむしろ自発的に受け入れる姿勢を見せました。
7. 段階的な課税区分の仕組み
税率は段階的な課税区分(グラデーテッド・ブラケット)で構成され、所得が上がるほど適用税率も高くなる設計でした。この方式により、経済力のある人ほど大きな負担を担う累進課税体制が実現したのです。
まとめ:77%は戦時限定の例外的措置
1918年の77%という最高税率は、あくまで戦争という非常事態に対応するための例外的かつ時限的な措置でした。終戦後に行われた税制の見直しと改革により、その後の年度には税率は段階的に引き下げられていきました。それでも、この時期に確立された累進課税の枠組みは、その後のアメリカ税制の基礎となった点で歴史的に重要です。