フランス最後の国王として知られるルイ16世(1754年~1793年)は、実は朝食を食べる習慣がありませんでした。これは彼個人の偏食によるものではなく、当時のフランスにおける一般的な食生活の慣習が背景にあります。
18世紀フランスでは「朝食」は一般的ではなかった
18世紀のフランス、特に上流階級や宮廷社会では、朝食という食事の概念がほとんど存在しませんでした。人々は一日に昼食と夕食の2回の食事を摂るのが主流で、朝起きてすぐに何かを食べるという習慣は、後の時代になってようやく広まったものです。
朝の楽しみはホットチョコレート
とはいえ、ルイ16世が朝に何も口にしなかったわけではありません。彼は朝にホットチョコレート(ショコラ・ショー)を飲むのが日課でした。チョコレート飲料は17世紀にスペイン経由でフランスに伝わり、宮廷貴族の間で贅沢な飲み物として大流行しました。滋養強壮に良いと信じられ、貴族たちの朝の儀式として定着していたのです。
本格的な食事は昼以降に
ルイ16世の本格的な食事は、昼以降にとられるのが普通でした。特に有名なのは「グラン・クーヴェール」と呼ばれる公開の晩餐で、王と王妃が一般の人々の目の前で食事をする儀式的な行事でした。また、ルイ16世は旺盛な食欲の持ち主としても知られ、特に狩りの後には大量の肉料理を平らげたと言われています。
まとめ
ルイ16世は朝食を「抜いた」のではなく、そもそも当時のフランスには朝食を摂る文化そのものが存在しなかったのです。代わりに彼は朝にホットチョコレートを嗜み、昼以降に本格的な食事を楽しんでいました。現代の私たちにとって当たり前となった一日三食の習慣が、歴史の中でどのように変化してきたのかを感じさせる興味深いエピソードですね。