決定的な転換点となった「ツィンメルマン電報」
ウッドロー・ウィルソン大統領が第一次世界大戦への参戦について抱いていた慎重な姿勢を転換させた決定的な要因となったのが、ツィンメルマン電報(Zimmermann Telegram)です。
1917年1月、ドイツ帝国の外務大臣アルトゥール・ツィンメルマンが送信したこの秘密電報には、衝撃的な内容が記されていました。それは、アメリカとドイツの間で戦争が勃発した場合に備えて、ドイツとメキシコの軍事同盟を結ぶという提案だったのです。
電報に記された「領土回復」の約束
さらに驚くべきことに、電報の中でツィンメルマンはメキシコに対し、かつて米墨戦争(1846~1848年)でアメリカに割譲させられた領土——すなわちテキサス州、ニューメキシコ州、アリゾナ州——の回復を支援すると約束していました。自国の領土問題に他国が介入しようとしていたことが、後に明らかになったのです。
電報の発覚とアメリカ世論の激怒
この電報は、イギリスの情報機関によって傍受・解読され、その内容はアメリカ政府に伝えられました。当時まだ中立の立場を保っていたアメリカにとって、これは重大な外交問題でした。
ウィルソン大統領は1917年2月、電報の内容を一般に公開することを決断します。その結果、自国への敵対的な陰謀が露呈したことで、アメリカ国民の間に激しい怒りと憤慨が広がり、それまで分かれていた世論は一気に参戦支持へと傾きました。
宣戦布告への道
ツィンメルマン電報は、ドイツがアメリカ本土の安全保障に対する直接的な脅威であることをウィルソン大統領に確信させました。こうして彼は中立主義の立場を放棄し、議会に対してドイツへの宣戦布告を求め、1917年4月にアメリカは第一次世界大戦へ参戦することとなったのです。