史上最長の就任演説――ウィリアム・ヘンリー・ハリソン
米国大統領史上、最も長い就任演説を行ったのは第9代大統領ウィリアム・ヘンリー・ハリソンです。1841年3月4日、彼は約8,445語にも及ぶ演説を、およそ1時間45分かけて読み上げました。
この日は寒風が吹きすさぶ冷え込んだ天候でしたが、ハリソンはコートも帽子も着けずに演説に臨んだと伝えられています。その結果、風邪をこじらせて肺炎を発症し、就任からわずか約1か月後の同年4月4日に死去しました。現職のまま亡くなった米国史上初の大統領であり、「史上最長の就任演説が命を縮めた」と語り継がれる有名な逸話となっています。
史上最短の就任演説――ジョージ・ワシントン
一方、最も短い就任演説は初代大統領ジョージ・ワシントンのものです。1793年3月4日に行われた2期目の就任式での演説は、わずか135語(英語)のみ。読み上げ時間は数分程度だったと考えられます。
建国初期の就任演説は儀礼的な挨拶にとどまることも多く、詳細な政策ビジョンを述べることが慣例となったのは、それ以降の時代になってからのことです。
まとめ
最長と最短の差は実に8,000語以上。寒空の下での長演説が悲劇につながったハリソンと、簡潔さを貫いたワシントン。対照的なこの二つの記録は、それぞれの時代の姿を映す興味深い歴史の証人といえるでしょう。