トマス・ペインの『コモン・センス』とは
『コモン・センス(Common Sense)』は、1776年、アメリカ独立戦争の幕開けの時期にトマス・ペイン(Thomas Paine)によって著されたパンフレットです。平易な言葉で書かれ、一般の人々にも広く読まれたこの一冊は、大衆部数で言えば当時としては驚異的な10万部以上を売り上げ、独立への世論を大きく後押しした歴史的文書として知られています。
植民地はなぜ自ら統治すべきなのか
ペインはこのパンフレットの中で、アメリカ植民地はイギリスに支配されるのではなく、自分たち自身の手で統治されるべきだと力強く主張しました。
その根拠として彼はまず、イギリス政府は腐敗しており、植民地の人々の利益を真に考えているとは言えないと批判しました。さらに、植民地の人々はイギリス人とは別個の、独自の歴史とアイデンティティを持つ民族なのだから、自らを統治する当然の権利があると訴えました。
「自治」を支えた主な論点
『コモン・センス』の中で、植民地が自ら統治されるべきだというペインの信念を支える主な考えには、以下のようなものがあります。
- 植民地の人々は税金を課されながらも、政治(統治)の場において一度も代表を持たなかった
- イギリスはアメリカの人々と共通の価値観を共有していないため、アメリカの人々を適切に守ることはできない
『コモン・センス』が残した影響
それまで王政からの分離を公然と主張することがタブー視されていた時代に、ペインは誰にでも理解できる言葉で独立の正当性を説きました。このパンフレットは世論を独立へと導き、同年7月に採択された「アメリカ独立宣言」にも大きな思想的影響を与えたとされています。『コモン・センス』は、単なるパンフレットにとどまらず、アメリカ建国の理念を形づくった重要な文書といえるでしょう。