MRI(Magnetic Resonance Imaging、磁気共鳴画像法)は、1938年にイシドール・アイザック・ラビが分子線を用いた実験で観測した現象に基づく技術です。生体組織中の水素原子が放出する核磁気共鳴(NMR)信号を検出することで、開腹手術などを一切行わずに人体の臓器内部を調べることを可能にしました。
「MRI」という名称が定着したのは、第二次世界大戦が終結し、原爆が投下された後のことです。「核磁気共鳴」という正式名称に含まれる「核(nuclear)」という語が、あまりにも攻撃的なイメージを連想させるため、命名から意図的に外されることになったのです。
この技術の発展には多くの研究者が貢献しました。1946年にはフェリックス・ブロッホとエドワード・ミルズ・パーセルがそれぞれ独立に物質中でのNMR現象を観測し、この業績によって1952年にノーベル物理学賞を受賞しています。さらに1969年には、レイモンド・ヴァハン・ダマディアンがNMRを医療分野、とりわけ腫瘍の検出に応用することを提唱しました。
現代医学における絶対的な武器、MRI
その後数十年にわたって技術は改良が重ねられ、特に解像度の面で飛躍的な向上を遂げました。1980年代からは、体の一部、とりわけ脳を2Dまたは3Dで可視化することが可能になっています。その仕組みは、高周波の電磁波を身体の特定部位に照射し、水素などの特定の原子が再放出する信号を測定することで、撮像範囲内の各点における化学的組成、すなわち生体組織の性質を割り出すというものです。
1977年にはダマディアン自身の手によって世界初の全身MRIスキャナー「インドミタブル(Indomitable)」が完成し、人類初のMRI検査が実施されました。また、ポール・ラウターバーとピーター・マンスフィールドによる画像化手法の研究は2003年のノーベル生理学・医学賞に輝き、MRIは現代医療に欠かせない診断装置としての地位を確立しました。
X線CTやPETなどの他の画像診断技術と異なり、MRIは非侵襲的であり、放射線被曝もありません。これは患者への負担を考えると非常に大きな利点といえます。現在では、多発性硬化症、脳卒中、腫瘍といった神経疾患の検出に広く活用されており、驚異的な精度で病変を捉えることができます。