ローマ軍団兵は、永遠の都ローマの総力を背負って戦場に立っていた。彼らは勝者としてゲルマニアに足を踏み入れ、新たな属州における支配の強化を目指していた。だが、彼らは知る由もなかった――その中に一人の裏切り者が潜み、彼らに死の罠を仕掛けようとしていることを……
西暦9年、トイトブルクの森。ヴァルス総督率いるローマ軍団は、かつて部下だったアルミニウス率いるゲルマン部族連合の待ち伏せ攻撃を受け、壊滅的な打撃を被りました。ローマの鷲旗が敵の手に渡り、帝国の拡張の歩みがここで完全に止まったのです。歴史上最大級の軍事的惨事の一つとされるこの戦いを、一人の兵士の視点から描き出したのが、元イギリス陸軍兵士ジェラント・ジョーンズによる戦争小説『ブラッド・フォレスト』(原題:Blood Forest)です。
ローマのため、戦友のために!
本作は、リドリー・スコット監督『グラディエーター』が持つ感情の高揚感と、オリバー・ストーン監督『プラトーン』が持つ圧倒的なリアリティを融合させた作品として評されています。
実際に従軍経験を持つ作家によるデビュー作であり、バーナード・コーンウェル、サイモン・スカロウ、ベン・ケイン、コーン・イガルデンといった歴史戦記小説の巨匠たちのファンにこそ読んでほしい一冊。映画さながらのテンポで展開するアクションと、徹底的に考証されたリアルな戦場描写が魅力です。

主人公の名はフェリックス――「幸運な者」という意味の名で呼ばれる男。ゲルマニアの森で起きた凄惨な虐殺の唯一の生存者ですが、激しい衝撃から記憶を失い、自分が何者なのかさえ分かりません。ただ一つ確かなのは、彼が紛れもない兵士だということ。再び軍団に加わった彼は、仲間たちと共に屈強なゲルマン戦士たちと対峙することになります。
鬱蒼とした森の中、誇り高きヴァルス軍団の凱旋行進は、瞬く間に打ちのめされた兵士たちの絶望的な撤退へと変わっていきます。血まみれの森のただ中で、フェリックスは失われた記憶と自らの出自を取り戻すことができるのでしょうか?
普遍的に響く、一兵卒の戦争
残酷な白兵戦の臨場感あふれる描写、絶望と決意、血と汗、そして生き残ろうとする意志と戦友に対する責任感。本作が描き出すのは、時代や国境を越えて普遍的な「戦争の掟」と、一兵卒として戦場に放り込まれた人間の運命です。
歴史ファンはもちろん、迫真の戦争小説を求めるすべての読者に贈る、強靭な心臓を持つ方だけが最後まで読み切れるサスペンス・ノベルです。
書籍情報
- タイトル:『ブラッド・フォレスト』(原題:Blood Forest)
- 著者:ジェラント・ジョーンズ
- 刊行:Rebis(2019年)