ロバート・E・ケンディグは、1970年代後半から1990年代にかけて多彩な活動を見せた作家です。その創作範囲は長編小説、雑誌やアンソロジーに掲載された短編小説、そして若い読者向けの歴史・科学ガイドブックまでと幅広く、冒険、ファンタジー、ホラー、SFといったジャンルを横断して作品を発表してきました。
ここでは、ケンディグの主な作品を「著書」「短編小説」「その他の作品」の3つのカテゴリに分けて、年代順にご紹介します。
著書(長編小説)
ケンディグの長編小説は、冒険譚やファンタジー色の強い作品が中心です。デビュー作となった『英雄の書』(1978年)以降、ほぼ2年ごとに新作を発表し、着実に創作活動を続けました。
- 『英雄の書(The Book of Heroes)』(1978年)
- 『楽園の罠(Paradise Snare)』(1978年)
- 『氷からの声(Voices from the Ice)』(1980年)
- 『サンタクララに落ちる影(Shadow Over Santa Clara)』(1981年)
- 『沼の都(City in the Swamp)』(1983年)
- 『タイガーリリー(Tiger Lily)』(1985年)
- 『剣と王冠(The Sword and the Crown)』(1987年)
- 『紅の騎士伝説(The Legend of the Red Knight)』(1989年)
- 『聖なる山の秘密(The Secret of the Sacred Mountain)』(1991年)
- 『忘れられた神殿の謎(The Riddle of the Forgotten Temple)』(1993年)
- 『黄金の髑髏の呪い(The Curse of the Golden Skull)』(1995年)
特に1990年代の作品は、「聖なる山」「忘れられた神殿」「黄金の髑髏」といった古代遺跡や秘宝を題材にしたものが並び、冒険ミステリーとしての作風が際立っています。
短編小説
短編の分野では、古典的な怪奇・怪談からSFまで、幅広いテーマを手掛けています。中にはH・G・ウェルズの名作をモチーフにしたと思われる作品も含まれており、古典SFへの敬意もうかがえます。
- 「最後の英雄(The Last Hero)」(1977年)
- 「死を愛した男(The Man Who Loved Death)」(1978年)
- 「キッド船長の幽霊(The Ghost of Captain Kidd)」(1979年)
- 「禁じられた都の秘密(The Secret of the Forbidden City)」(1980年)
- 「失われた入江の宝物(The Treasure of the Lost Lagoon)」(1981年)
- 「不死鳥の帰還(The Return of the Phoenix)」(1982年)
- 「ミイラの墓の呪い(The Curse of the Mummy's Tomb)」(1983年)
- 「フランケンシュタインの怪物の恐怖(The Horror of Frankenstein's Monster)」(1984年)
- 「ドラキュラ吸血鬼の謎(The Dracula Vampire Mystery)」(1985年)
- 「ロンドンの狼男(The Werewolf of London)」(1986年)
- 「透明人間(The Invisible Man)」(1987年)
- 「モロー博士の島(The Island of Dr. Moreau)」(1988年)
- 「タイムマシン(The Time Machine)」(1989年)
- 「宇宙戦争(The War of the Worlds)」(1990年)
- 「月世界最初の人間(The First Men in the Moon)」(1991年)
1980年代半ばからは、フランケンシュタイン、ドラキュラ、狼男といった古典ホラーの定番キャラクターを題材にした作品が続きました。さらに1980年代後半には、透明人間、モロー博士の島、タイムマシン、宇宙戦争など、SF文学の金字塔的作品へのオマージュとも取れる短編を連続して発表しています。
その他の作品|「若き冒険者」シリーズ
ケンディグのもうひとつの重要な業績が、子どもや若い読者向けに歴史や科学を楽しく学べるようにまとめた「若き冒険者のための~ガイド」シリーズです。古代世界から未来まで、人類の歴史と文明の歩みを網羅する構成になっています。
- 『若き冒険者のための古代世界ガイド』(1982年)
- 『若き冒険者のための中世ガイド』(1983年)
- 『若き冒険者のためのルネサンスガイド』(1984年)
- 『若き冒険者のための大航海時代ガイド』(1985年)
- 『若き冒険者のためのアメリカ独立戦争ガイド』(1986年)
- 『若き冒険者のための南北戦争ガイド』(1987年)
- 『若き冒険者のための西部開拓時代ガイド』(1988年)
- 『若き冒険者のための宇宙時代ガイド』(1989年)
- 『若き冒険者のための未来ガイド』(1990年)
このシリーズは毎年1冊ずつ刊行され、古代から未来へと時代を追ってテーマが移り変わっていく点が特徴的です。物語を紡ぐ筆致を活かしながら、歴史教育の分野でも読者を魅了しました。
まとめ
ロバート・E・ケンディグは、長編・短編・ノンフィクション的ガイドブックという異なる形式で、約20年にわたり精力的に執筆活動を続けた作家です。冒険とファンタジーの長編、古典ホラー&SFへの挑戦的な短編、そして次世代の読者を育てた教養シリーズ――その多様な足跡は、幅広い層の読者に愛される作家ならではのものといえるでしょう。