「エステート(estate)」とは、近代以前のヨーロッパで見られた法定的な身分制度のことです。中でも最も有名なのは、フランスにおける「三身分」体制です。フランスでは、第一身分が聖職者、第二身分が貴族、第三身分が平民とされ、この身分制度は1789年のフランス革命まで続きました。国王が召集する三部会(Estates-General)も、この三身分ごとに構成されていました。
ただし、エステートに相当する身分制度はフランスだけのものではなく、ヨーロッパ各国にも独自の形で存在していました。以下、主な国々の身分構成を見ていきましょう。
フランス
- 貴族(第二身分)
- 聖職者(第一身分)
- 平民(第三身分)
イギリス(グレートブリテン)
- 貴族(ピアーズ/Peers)
- 庶民(コモナーズ/Commoners)
イギリスでは、貴族院に議席を持つ貴族層と、それ以外の庶民という二つの身分に大別されました。
ドイツ
- ユンカー(Junkers/地主貴族)
- 市民(ブルガー/Burghers)
- 農民(Peasants)
特にプロイセンでは、ユンカーと呼ばれる地主貴族が政治・軍事の中核を担いました。
オーストリア=ハンガリー
- 貴族(Nobility)
- 聖職者(Clergy)
- 市民(Burghers)
- 農民(Peasants)
ロシア
- 貴族(Nobility)
- 聖職者(Clergy)
- 商人(Merchants)
- 農民(Peasants)
ロシアでは商人が独立した身分として認められていた点が特徴的です。
まとめ
「エステート」という言葉で最もよく知られているのはフランスの三身分制度ですが、イギリス、ドイツ、オーストリア=ハンガリー、ロシアなど、ヨーロッパの多くの国々でも同様の身分階級社会が存在しました。これらの身分制度は、産業化や市民革命の進展とともに次第に解体されていきました。