憲法修正第13条――奴隷制の法的廃止
アメリカ合衆国において、黒人が法律上「財産」ではなく人格を持つ存在として認められた歴史的転換点は、1865年12月6日に批准されたアメリカ合衆国憲法修正第13条(Thirteenth Amendment)です。
この修正条項は次のように定めています。
「合衆国、またはその管轄権が及ぶいかなる場所においても、奴隷制および強制労働(不随意隷属)は、当該者が正当に有罪判決を受けた犯罪に対する刑罰としての場合を除き、存続してはならない。」
批准までの経緯
修正第13条は、1861年から1865年にかけて続いた南北戦争(アメリカ内戦)の帰結として成立しました。リンカーン大統領は1863年1月に「奴隷解放宣言」を発布し、反乱諸州の奴隷を解放しましたが、これはあくまで戦時の措置であり、奴隷制そのものを恒久的かつ全国的に禁止するものではありませんでした。そこで、憲法改正という形で奴隷制を完全に廃止する必要が生じました。
連邦議会は1865年1月31日にこの修正条項を可決し、各州での批准手続きを経て、同年12月6日に必要な州数(当時36州中27州)による批准が達成されました。
歴史的意義と例外規定
この修正によって、建国以来約90年間にわたり合法とされてきた奴隷制が、合衆国全土で違法となり、黒人は法的に「所有物」ではなく自由な人格として扱われることになりました。
ただし、条文には「正当に有罪判決を受けた犯罪に対する刑罰」としての強制労働を認める例外規定が含まれており、この例外が後世の歴史において繰り返し議論の対象となってきました。
また、修正第13条自体には差別を禁止する規定がなかったため、その後の公民権運動の高まりを経て、公民権法(1964年)などのさらなる法整備へとつながっていきました。