北米の歴史

ブラック・ヒストリー・マンスはなぜ、いつに定められたのか?由来と歴史を解説

ブラック・ヒストリー・マンス(Black History Month)は、アフリカ系アメリカ人が果たしてきた功績を称え、アメリカ合衆国の歴史における彼らの中心的な役割を再認識するために毎年2月に開催される記念行事です。この取り組みは、著名な歴史家カーター・G・ウッドソンら有力なアフリカ系アメリカ人たちが提唱した「ニグロ・ヒストリー・ウィーク(黒人史週間)」から発展しました。1976年以降、歴代のアメリカ大統領は毎年2月をブラック・ヒストリー・マンスとして正式に指定しています。また、カナダやイギリスをはじめ、世界中の国々でも黒人の歴史を称える月間が設けられています。

ニグロ・ヒストリー・ウィークの設立

カーター・G・ウッドソンの生涯と理念

カーター・G・ウッドソンは1875年12月19日、バージニア州ニューキャントンで元奴隷の両親のもとに生まれました。ケンタッキー州のベリア大学やシカゴ大学で学位を取得した後、ワシントンD.C.のハワード大学をはじめとする名門教育機関で歴史学などの科目を教えるようになりました。

当時のアメリカの教育制度において、アフリカ系アメリカ人の歴史が軽視されていたことに憤りを感じたウッドソンは、1915年、「ニグロ生活・歴史研究会(Association for the Study of Negro Life and History:ASNLH)」の設立を主導しました。この組織は、アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を研究し、広く社会に伝えていくことを目的としていました。

ダグラスとリンカーンの誕生日にちなんだ週間

1926年、ウッドソンとASNLHは「ニグロ・ヒストリー・ウィーク」を開始しました。この週が2月に設定されたのは、アフリカ系アメリカ人史上の重要人物であるフレデリック・ダグラス(2月14日)と、奴隷解放宣言を発したエイブラハム・リンカーン(2月12日)という二人の誕生日にちなんだものです。

ニグロ・ヒストリー・ウィークは大きな成功を収め、教育者、地域社会のリーダー、政府関係者などから急速に支持を集めていきました。やがて全米各地で黒人史に関する講演会や展示会が開かれるようになり、この取り組みの知名度は着実に高まっていきました。

ブラック・ヒストリー・マンスへの拡大

1960年代には公民権運動が全米で活発化し、人種と平等をめぐる問題への関心が一気に高まりました。これを受けて1970年頃から、1週間では伝えきれないアフリカ系アメリカ人の歴史と文化の幅広さに対応するため、記念期間を月単位へと拡大する動きが始まりました。

そして1976年、アメリカ建国200周年にあたる年から、歴代のアメリカ大統領が毎年2月を「ブラック・ヒストリー・マンス」として正式に指定するようになりました。月間の期間中には、全国の学校、図書館、コミュニティセンターで、アフリカ系アメリカ人の歴史と文化を祝うイベントやプログラムが数多く開催されます。

ブラック・ヒストリー・マンスは、アフリカ系アメリカ人がアメリカの歴史にもたらした貢献を振り返り、その文化の多様性と豊かさを称える大切な機会です。同時に、人種的な平等と社会的正義を実現するための闘いへ、改めて決意を新たにする期間でもあります。