V字型の谷は、侵食(浸食)によって形成される「破壊的」な地形です。堆積などによって物質を積み上げてつくられる「建設的」な地形とは対照的に、河川の力が地面を削り取ることで生まれます。
V字型の谷ができる仕組み
V字型の谷は、河川や渓流がもつ下刻み作用(垂直浸食)によって形成されます。流れの速い水が川底を鋭く削り込み、谷底が深くなっていきます。同時に、斜面では風化や雨水による表面浸食、土砂崩れなどが起こり、谷壁が後退しながら緩やかに傾斜します。この二つの作用が組み合わさることで、断面がアルファベットの「V」の字のような形の谷が出来上がります。
下刻み作用が強まる条件
- 急勾配で流速が速い河川
- 降水量が多く流量が豊富な地域
- 地盤が隆起している活発な造山帯
これらの条件がそろうほど、河川はより激しく地面を削り、深く鋭いV字型の谷を発達させます。
建設的地形との違い
三角州や沖積平野のように、運ばれた土砂が堆積して形成される地形は「建設的」な地形と呼ばれます。一方、V字型の谷は岩石や土壌を取り去って形成されるため、明確に侵食地形=破壊的な地形に分類されます。
U字型の谷との違い
氷河が谷を削ってできるU字型の谷(圏谷・氷食谷)も同じく侵食地形ですが、氷河は側方にも広く削るため、谷の断面が「U」の字になります。V字型の谷が河川による下刻みの証拠であるのに対し、U字型の谷は過去に氷河が存在したことを示す地形として知られています。
まとめると、V字型の谷は河川の下刻み作用という破壊的(侵食的)な営みの産物であり、建設的な地形ではありません。