北米の歴史

米国憲法は奴隷制度の廃止を阻止したのか?――妥協の条項と修正第13条への道

米国憲法は奴隷制度を守ったのか?

結論から言えば、米国憲法は奴隷制度が廃止されないことを保証したわけではありませんでした。確かに、憲法には奴隷制に関わる重要な条項が含まれていましたが、同時に将来的な廃止への道筋も組み込まれていたのです。

憲法に盛り込まれた奴隷制関連の条項

建国当初の憲法には、以下のような奴隷制に関わる規定がありました。

5分の3妥協(Three-Fifths Compromise)
下院の議席配分および選挙人団の数を決める際、奴隷は1人を5分の3として数えることになりました。これは南部諸州の政治的発言力を確保するための妥協案でした。

逃亡奴隷条項(Fugitive Slave Clause)
他州へ逃亡した奴隷を、所有者のもとへ返還することが州に義務付けられました。

廃止への道を開いた憲法の規定

一方で、憲法には奴隷制を最終的に廃止しうる仕組みも存在していました。

まず、憲法第1条第9節第1項は、連邦議会に対し国際的な奴隷貿易を規制する権限を与えていました。これにより、1808年以降は新たな奴隷の輸入を禁止することが可能となりました。

さらに、憲法第5条は憲法修正の手続きを定めており、時代の要請に応じて根本的な変更を行う道を開いていました。

修正第13条による奴隷制の廃止

こうした憲法上の仕組みが実際に機能したのが、南北戦争後の1865年です。この年、修正第13条が批准され、アメリカ合衆国における奴隷制度は正式に廃止されました。つまり、米国憲法は奴隷制を永続させるものではなく、むしろその廃止を実現するための法的枠組みを提供していたと言えるのです。