HUAC(米国下院非米活動委員会)とは
米国下院非米活動委員会(House Un-American Activities Committee、略称:HUAC)は、1938年に設立されたアメリカ合衆国議会の委員会です。共産主義とのつながりが疑われる一般市民、公務員、各種団体などに対して、「不忠誠」や「破壊活動」の疑いがないかを調査することを主な目的としていました。
設立の経緯と調査対象の拡大
HUACは当初、アメリカ国内に流布される「非米的(アンアメリカン)なプロパガンダ」を調査する特別委員会として発足しました。しかしその後、任務は次第に拡大され、連邦政府内部への共産主義者の浸透、ハリウッド映画産業、さらにその他のアメリカの諸機関における共産主義の影響力の調査へと対象を広げていきました。
強権的な調査手法と公開公聴会
HUACは、その攻撃的かつ強権的な調査手法で広く知られていました。具体的には、公開公聴会の開催、召喚状の発行、そして証人に対する政治的信条や人間関係についての尋問などが挙げられます。委員会に呼び出された多くの人々は、過酷な尋問と世間の厳しい注視にさらされることになりました。
ブラックリストとハリウッドへの影響
委員会の調査は、共産主義者あるいはその同調者と疑われた人物のブラックリスト(黒名簿)作成につながることも少なくありませんでした。こうしたブラックリストは、ハリウッドをはじめとする各業界で働く多くの人々のキャリアに深刻な打撃を与え、政治的信条を理由に事実上、就労を拒否される事態を生み出しました。
賛否を呼んだ存在
HUACの活動は大きな論争を巻き起こしました。国内の転覆活動からアメリカを守るうえで必要不可欠だとする意見がある一方で、それは市民的自由や言論の自由への攻撃にほかならないと批判する声も根強く存在しました。
解散へ
1969年には委員会の名称が「下院国内安全保障委員会(House Committee on Internal Security)」へと改められ、最終的に1975年に解散しました。冷戦期のアメリカ社会に多大な影響を残したHUACの歴史は、国家安全保障と個人の自由の緊張関係を考えるうえで今なお重要な題材となっています。