オセアニアの歴史

先住民族は第一次世界大戦で戦ったのか?オーストラリア先住民兵士たちの実像

答えは「はい」です。オーストラリアの先住民族(アボリジニ)も、第一次世界大戦(1914〜1918年)に従軍し、オーストラリア帝国軍(AIF)の一員として戦いました。大規模な部隊を形成したわけではありませんが、全国各地の先住民族コミュニティから多くの男性が志願し、歩兵、軽騎兵、衛生部隊などさまざまな役割で任務に就きました。

当初は門戸は閉ざされていた

開戦当時、先住民族の従軍は容易ではありませんでした。1903年国防法では、ヨーロッパ系の血を相当程度引く者以外の入隊が事実上排除されており、初期には志願しても拒否されるケースが少なくありませんでした。しかし、戦争が長期化し人的資源の需要が高まるにつれ、規制の運用は次第に緩和され、先住民族の志願者も増加していきました。

名を残す先住民兵士たち

  • アルバート・ナイト(Albert Knight):ウェンバ・ウェンバ族出身。1918年のフランス北部ヴィレール=ブルトヌー近郊での戦闘における活躍により、殊功勲章(Distinguished Conduct Medal)を授与されました。
  • ウィリアム・ローリングス(William Rawlings):ガンディジュマラ族出身。1918年に軍功章(Military Medal)を受章しました。
  • アーサー・トーマス・ウォーカー(Arthur Thomas Walker):ンガリンジェリ族出身。1917年のパッシェンデールの戦いでの活躍により軍功章を受章しました。
  • ダグラス・グラント(Douglas Grant):ウィラジュリ族出身。西部戦線で戦い、1917年のビュレクールの戦いでドイツ軍の捕虜となりました。

一方で、作家・発明家として知られるダヴィッド・ウナイポン(David Unaipon)のように、志願しながらも入隊を拒否された著名な先住民族の人物もいます。先住民族の従軍が必ずしも順当に認められていたわけではないことがわかります。

従軍者数と歴史的意義

第一次世界大戦中にAIFへ従軍した先住民族は、推計でおよそ1,000人とされています。彼らはガリポリや西部戦線など激戦地で多大な貢献を果たしました。

しかし、帰還後の扱いは決して公平ではありませんでした。退役軍人向けの土地供与(ソルジャー・セトルメント)などの支援から排除されることが多く、賃金や年金が満額支給されないケースもありました。それでも、先住民兵士たちの戦争への貢献は、当時の先住民族に対する偏見や固定観念に疑問を投げかける存在となり、後の市民権獲得運動へとつながる重要な一歩となりました。毎年4月25日のアンザックデーには、彼らの犠牲と勇気もまた追悼されています。