南アメリカの歴史

遊牧民がアメリカ大陸へ渡った水域はどこ?ベーリング海峡説をわかりやすく解説

実は、遊牧民が海や川といった水域を「渡って」アメリカ大陸に到達したことを示す直接的な証拠は存在しません。ただし、最も広く受け入れられている学説によれば、最初の人類は少なくとも1万5千年前に、アジアから北米大陸へ向かう際にベーリング海峡の位置を通過したと考えられています。

ベーリング海峡(ベーリンジア)経由説とは

現在は海に隔てられているシベリア(ロシア極東)とアラスカですが、最終氷期には海面が大幅に低下していたため、両者の間には広大な陸橋「ベーリンジア(Beringia)」が姿を現していました。マンモスなどの大型動物を追って移動した人々が、この陸地を東へ東へと進み、結果として北米大陸へと足を踏み入れた――これが有力視されているシナリオです。

「泳いで渡った」のではなく「歩いて渡った」

重要なのは、彼らが越えたのが「水」ではなく、当時は乾燥した大地だった場所だという点です。氷河期の終焉とともに海面が上昇し、この陸橋が水没したことで、今日私たちが知るベーリング海峡が形成されました。つまり、先住民の祖先たちは船ではなく、徒歩で新大陸への扉を開いたのです。

沿岸移動ルート説も注目される

近年では、内陸の陸橋ルートに加え、太平洋岸沿いを小舟で南下したとする「沿岸移動(コースタル・マイグレーション)」仮説も活発に研究されています。この場合、人類初の本格的な水域の横断が行われたことになりますが、それを裏付ける決定的な考古学的証拠はまだ見つかっていません。

まとめ:「遊牧民が特定の水域を渡ってアメリカ大陸を獲得した」という証拠はありません。主流の見解では、氷河期の低海面期に出現したベーリング地峡(ベーリンジア)を歩いて渡ったことが、人類のアメリカ大陸進出の起点となったとされています。