アメリカ南北戦争中の1863年、エイブラハム・リンカーン大統領が発した「解放宣言(Emancipation Proclamation)」は、アメリカ合衆国に反旗を翻していた南部連合(アメリカ連合国)諸州において、奴隷として働かされていた人々を解放する画期的な布告でした。
しかし、この宣言には重要な例外が設けられていました。すでに北軍(ユニオン軍)の支配下に置かれていた地域や、リンカーン大統領によって明確に適用除外とされた地域では、奴隷解放の対象とならなかったのです。
解放宣言の適用除外となった地域
宣言の対象外となった主な地域は以下の通りです。
- メリーランド州
- ケンタッキー州
- ミズーリ州
- デラウェア州
これらの州は「境界州(ボーダー・ステーツ)」と呼ばれ、奴隷制を認めながらも南部連合には加わらず、合衆国にとどまっていた州です。リンカーン政権は、これらの州が南部側に離反することを防ぐため、宣言の適用範囲から意図的に除外しました。
さらに、南部連合諸州の内部であっても、すでに北軍の支配下にあった一部の郡や都市は解放の対象から除かれていました。このように、解放宣言はあくまで「反乱状態にある地域」の奴隷に適用されるという、限定的な性格を持っていたのです。