南アメリカの歴史

1943年の「歩くリバティ」デザインで裏面に逆さ鷲がある5セント硬貨の価値は?

「表面には自由に歩く女性の姿、裏面には逆さまの鷲が描かれた1943年の5セント硬貨を持っている。一体いくらの価値があるのか?」――こんな疑問をお持ちの方は少なくありません。結論からお伝えすると、そのような図柄の硬貨は、アメリカ合衆国造幣局が発行したことが一度もありません。

結論:「逆さ鷲」の硬貨は実在しない

裏面に逆さまの鷲が描かれたハーフダラー(50セント銀貨)は、1943年に限らず、どの年号にも存在しません。もし手元の硬貨が本当にそのような図柄なら、偽造品・レプリカ、あるいは装飾目的で作られた「ファンタジー品」の可能性が非常に高いといえます。

「歩くリバティ」は5セント硬貨ではなくハーフダラーのデザイン

「ウォーキング・リバティ(歩く自由の女神)」として知られる図柄が使われたのは、5セント硬貨ではなくハーフダラー(50セント銀貨)です。1916年から1947年まで発行が続いたため、1943年銘の本物も確かに存在します。

一方、当時の5セント硬貨(ニッケル)は、1938年から発行されたジェファソン5セント硬貨で、表面にトーマス・ジェファソンの肖像、裏面にモンティチェロ邸が描かれており、「歩くリバティ」とはまったく別のデザインです。ちなみに1943年銘のニッケルは戦時の金属供給対策のため銀を35%含む特殊合金で作られていますが、図柄自体は変わりません。

裏面の鷲は「逆さま」には描かれない

ウォーキング・リバティ・ハーフダラーの裏面には、岩場の上にまっすぐ立つ鷲が描かれています。逆さまの鷲が刻まれたバージョンは公式には存在せず、造幣局がそのような硬貨を発行した記録も一切ありません。

ひっくり返すと逆さまに見えるのは正常

ただし注意したいのが、アメリカの硬貨は表と裏が180度ずれた向きで打たれる(コイン・オリエンテーション)という点です。硬貨をひっくり返す向きによっては、裏面の鷲が逆さまに見えることがありますが、これはエラーではなくごく普通の仕様です。「逆さ鷲=希少なエラー硬貨」と誤解しやすいポイントなので、覚えておくと役立ちます。

手元の硬貨の正体は?

  • 通常のコイン回転による見え方: ひっくり返す方向によって裏面が逆さまに見えるだけで、本物の可能性もあります。
  • 偽造品・レプリカ: 図柄自体が実在しない場合は、模造品やファンタジー品の可能性が高いです。
  • 別の硬貨との混同: 額面・年号・図柄をもう一度よく確認してみましょう。

本物の1943年ハーフダラーの価値は?

仮にお持ちの硬貨が本物の1943年ウォーキング・リバティ・ハーフダラーだった場合、価値の目安は次のとおりです。

  • 発行枚数: 3つの造幣局合計で約7,800万枚と多く、一般的な年号です。
  • 流通品: 銀含有量90%(純銀約0.36トロイオンス)のため、銀地金としての価値がベースとなり、おおよそ10ドル前後から取引されます(銀価格により変動します)。
  • 美品・未使用品: 状態が良いほどプレミアムが付き、数十ドル以上になることもあります。

一方、逆さ鷲のように「あり得ない図柄」が刻まれた硬貨は、本物の貨幣としての収集価値はほぼ期待できないと考えてよいでしょう。

まとめ

「歩くリバティ+逆さ鷲」の1943年5セント硬貨は実在せず、収集価値も付きません。図柄の正体はハーフダラーのもので、裏面が逆さまに見えるのはコインの向きの仕様によるケースがほとんどです。まずは硬貨の額面・図柄・重さを確認し、本物かどうかを見極めることから始めましょう。