南アメリカの歴史

フレドリック・ダグラスとソジャーナー・トゥルースは何を終わらせようとしたのか?

はじめに

19世紀アメリカの奴隷制廃止運動と人権闘争の歴史において、フレドリック・ダグラス(Frederick Douglass)とソジャーナー・トゥルース(Sojourner Truth)は欠かすことのできない存在です。二人とも奴隷として生まれ、過酷な搾取と差別の中で育ちましたが、自由を手にした後は、自らの声と行動力を武器に、社会から不条理な仕組みをなくすために生涯を捧げました。

では、彼らは具体的に何を「終わらせたかった」のでしょうか。それぞれの闘いの対象を整理して見ていきましょう。

フレドリック・ダグラスが終わらせようとしたもの

元奴隷であり、卓越した弁論家・作家・政治家でもあったダグラスは、主に以下の三つの問題と闘いました。

1. 奴隷制

ダグラスにとって最大の使命は、人間を所有物として扱う奴隷制度そのものの廃止でした。彼は自らの奴隷時代の体験を綴った自伝『アメリカン・スレイブの生涯』(1845年)を出版し、奴隷制の残虐性を世界に訴えかけました。

2. 人種差別

奴隷制が廃止された後も、ダグラスは黒人に対する構造的な人種差別と闘い続けました。特に公民権の獲得、黒人の投票権の保障を強く求め、法の下での真の平等を実現しようと奔走しました。

3. 差別全般

教育、雇用、司法など、あらゆる分野における差別の撤廃を目指しました。「すべての人に平等な権利を」という理念を掲げ、女性参政権運動にも積極的に支援の手を差し伸べたことで知られています。

ソジャーナー・トゥルースが終わらせようとしたもの

ニューヨーク州で奴隷として生まれたトゥルースは、自由を得た後、「ソジャーナー(遍歴する者)・トゥルース(真理)」と名乗り、全国を巡って説教と演説活動を行いました。彼女が終わらせようとしたのは、次の三つです。

1. 奴隷制

トゥルース自身、およそ30年間を奴隷として過ごしました。その実体験に基づく証言は、奴隷制の即時廃止を求める最も力強い声の一つとなりました。

2. 性差別

1851年のオハイオ州女性権利大会での有名な演説「私は女ではないのか?(Ain't I a Woman?)」で象徴されるように、彼女は女性への差別、とりわけ黒人女性が受ける人種と性別による二重の抑圧に立ち向かいました。

3. 人種差別

奴隷制廃止後も残り続けた人種的偏見にも反対し続けました。南北戦争中には黒人兵士の募集を支援し、戦後は解放された元奴隷たちの生活再建や権利獲得のための活動にも尽力しました。

二人の共通点と遺産

ダグラスとトゥルースは、どちらも奴隷制と人種差別の廃止という共通の目標を持っていました。一方で、ダグラスはより広範な差別全般の撤廃に、トゥルースは性差別の打破に重点を置いて闘った点が大きな特徴です。

彼らの闘いは、1865年の奴隷制廃止(憲法修正第13条)という成果につながり、さらにその後の公民権運動へと受け継がれていきました。今日の平等と正義をめざす運動の礎を築いたのが、この二人の勇気ある活動家だったのです。