アメリカにおける奴隷制の時代、この非人道的な制度は世界のさまざまな地域でも存在していました。ここでは、同時期に奴隷制が行われていた代表的な地域とその実態をご紹介します。
1. ヨーロッパ
19世紀までにヨーロッパの大部分では奴隷制は衰退していましたが、農奴制をはじめとする強制労働の形態は一部の地域に残っていました。たとえばロシアでは、農奴制が1861年まで存続し、皇帝アレクサンドル2世による改革によってようやく廃止されました。
2. オスマン帝国
現在のトルコ、バルカン半島、北アフリカ、中東の一部にまたがる広大なオスマン帝国では、奴隷制が広く行われていました。帝国の奴隷貿易では、征服した各地域から人々を捕らえて売買することが日常的に行われており、宮廷や軍隊、家庭での労働に奴隷が使われていました。
3. スペイン領アメリカ植民地
現在のメキシコ、中央アメリカ、南アメリカ、カリブ海地域を含むラテンアメリカ全域のスペイン植民地では、奴隷制が存在しました。スペイン人はアフリカから連れてこられた奴隷だけでなく、先住民をも鉱山や農園での強制労働に従事させていました。
4. ポルトガル領アメリカ植民地
スペイン領と同様に、ブラジルをはじめとする南アメリカのポルトガル植民地でも奴隷制が根付いていました。特にブラジルは、当時世界最大級のアフリカ人奴隷輸入国の一つであり、砂糖プランテーションの労働力として大量の奴隷が酷使されました。
5. フランス領アメリカ植民地
サン=ドマング(現在のハイチ)をはじめとするカリブ海のフランス植民地は、砂糖プランテーションの労働力をアフリカ人奴隷に大きく依存していました。18世紀にはフランスの奴隷貿易が特に活発化し、カリブ海地域は世界有数の砂糖産地となりました。
6. イギリス領カリブ海および北米植民地
アメリカ合衆国以外にも、ジャマイカやバルバドスといったイギリス領カリブ海植民地、さらにバハマやバミューダなどの北アメリカのイギリス領土でも奴隷制が行われていました。これらの地域では砂糖やタバコのプランテーション経済が奴隷労働の上に成り立っていました。
7. インド洋の奴隷貿易
インド洋地域においても奴隷制は広く存在していました。アラブの奴隷商人たちは東アフリカ沿岸で人々を捕らえ、中東、インド、東南アジアの各地へと売り捌く大規模な交易網を築いていました。
8. サハラ縦断奴隷貿易
歴史的に見ると、アフリカ大陸内部の一部地域でも奴隷制が存在し、多くのアフリカの王国や帝国がサハラ縦断の奴隷貿易に参加していました。この交易では、捕らえられた人々がサハラ砂漠を越えて北アフリカや中東の市場へと運ばれ、売買されていました。
まとめ
以上の例が示すように、アメリカの奴隷制と同じ時代には、世界各地の異なる地域や文化において、程度の差こそあれ奴隷制という非人道的な慣行が広く存在していました。奴隷制は特定の国や地域だけの問題ではなく、世界的な歴史的事象だったのです。