ヨーロッパの歴史

全体主義は誰が始めたのか?その起源と最初の全体主義国家

「全体主義(トータリタリアニズム)」という言葉は、どこで、誰によって生まれたのでしょうか。この概念の歴史をたどると、20世紀前半のイタリアに行き着きます。

「全体主義」という言葉の誕生

「全体主義(totalitarismo)」という用語を最初に用いたのは、イタリアの政治哲学者ジョヴァンニ・ジェンティーレであると広く認められています。彼は1925年、国家が社会のあらゆる側面を包括的に統制すべきだという思想を表現するために、この言葉を提唱しました。

ジェンティーレは、当時台頭しつつあったファシズム運動に理論的な基盤を与えた哲学者として知られ、後に教育大臣も務めるなど、イタリアの政治思想界において重要な役割を果たしました。

ムッソリーニによる採用と実践

ジェンティーレが打ち出したこの概念は、まもなくベニート・ムッソリーニ、すなわち国家ファシスト党の指導者によって公式に採用されました。ムッソリーニはこの思想を自らの政権運営の中核に据え、国家の権威を社会の隅々まで及ぼそうとしたのです。

こうしたことから、歴史学においてはムッソリーニが世界初の全体主義国家の指導者であると広く見なされています。彼が樹立した政権は、政治のみならず経済、文化、教育、報道機関に至るまで、社会のあらゆる領域を国家的に統制しようと試みた点で、それ以前の独裁体制とは一線を画していました。

まとめ

全体主義という概念は、哲学者ジェンティーレが1925年に言葉として生み出し、それを実践的な政治体制として最初に具現化したのがムッソリーニでした。以降、この言葉は20世紀の独裁政権を分析する上で不可欠な概念となり、現代政治学にも深い影響を与え続けています。