ヴァイキングとして知られるスカンジナビア人たちは、8世紀から11世紀にかけて、ヨーロッパはもとより北大西洋の島々や北アメリカ大陸まで、広範な地域へ進出し定住しました。本記事では、彼らの主な定住地と、そこに至った理由について詳しく解説します。
スカンジナビア人の主な定住地
スカンジナビア本土
現在のデンマーク、ノルウェー、スウェーデン。彼らの故郷であり、すべての航海と移住の出発点となった中核地域です。
北西ヨーロッパ
現在のイギリス、フランス、ドイツ、オランダ、ベルギーにあたる地域。特にイギリスでは「デーンロー」と呼ばれるヴァイキングの支配圏が形成され、フランス北部ではノルマンディー地方がノース人(ノルマン人)の定住地として有名になりました。
東ヨーロッパ
現在のエストニア、ラトビア、リトアニア、フィンランド、ロシアなど。スウェーデン出身のヴァイキング(ヴァリャーグ)は河川を利用して東方へ進出し、中世ロシアの原型となるキエフ・ルーシの建国にも関わったと伝えられています。
北アメリカ
現在のカナダ、アメリカ合衆国、メキシコに相当する地域。10世紀末にはレイフ・エリクソンが北米大陸(サガに語られる「ヴィンランド」)に到達したとされ、ニューファンドランド島のランス・オ・メドー遺跡からは北米最古のヨーロッパ人入植の痕跡が見つかっています。
北大西洋の島々
- アイスランド: 9世紀から10世紀にかけて定住が進み、独自の文化と議会(アルシング)が発展しました。
- グリーンランド: 10世紀に赤毛のエリクらによって入植が始まりました。
- フェロー諸島: 9世紀に定住。
- シェトランド諸島: 9世紀に定住。
- オークニー諸島: 9世紀に定住し、長くノース人の勢力圏として栄えました。
スカンジナビア人が各地に定住した理由
スカンジナビア人がこれほど広い範囲へ移住・定住した背景には、複数の要因が絡み合っていました。
1. 人口過剰
ヴァイキング時代、スカンジナビアの人口は大幅に増加しました。しかし、寒冷な気候と限られた農地では増え続ける人口を支えきれず、新たな土地と生活の場を求めて海へ出る者が急増しました。これが大移動を促した最大の要因の一つです。
2. 交易の拡大
スカンジナビア人は優れた船乗りであると同時に、手腕のある商人でもありました。より広い交易網を築き、富を蓄えるため、遠隔地への進出を積極的に行いました。彼らの高性能な木造船は、浅い川も外洋も航行でき、交易路の拡大を可能にしました。
3. 探検への好奇心
未知の土地への強い好奇心も大きな原動力でした。自分たちの世界の外側にあるものを知りたいという欲求が、新しい土地への航海と定住を後押ししました。
4. 略奪と征服
スカンジナビア人は卓越した戦士としても知られ、沿岸部の修道院や都市への略奪、そして領土の征服を行いました。こうした軍事活動の結果、征服した土地にそのまま住み着くケースが各地で生まれました。
まとめ
スカンジナビア人の定住範囲は、故郷のスカンジナビアから西は北アメリカ、東はロシアにまで及びました。人口圧力、交易の拡大、探検心、そして軍事的な征服という複数の要因が組み合わさることで、彼らは後世「ヴァイキング時代」と呼ばれる大移動の時代を築き上げたのです。