旧約聖書の出エジプト記に描かれた物語の中で、第十の災いは決定的な転換点となりました。それまで頑なにイスラエルの民の解放を拒み続けていたファラオは、この最後の災いによってついに心を動かされることになります。
第十の災い「初子の死」とは
モーセがファラオに「わたしの民を行かせなさい」と繰り返し求めたのに対し、ファラオは心を硬くして拒み続けました。その結果、エジプトには次々と災いがふりそそぎます。最後となる第十の災いは、エジプト全土の初めて生まれた息子たち(初子)が一夜のうちに命を落とすという、あまりにも深刻なものでした。この災いはファラオ自身の家にも及んだと聖書は伝えています。
ついに屈したファラオの反応
出エジプト記12章によると、深夜、ファラオはモーセとアロンを呼び出し、「あなたたちもイスラエルの人々も、すぐに立ち去れ」と告げました。それまでの強硬な態度とは打って変わり、完全に譲歩したのです。さらに「私のためにも祝福してくれ」と頼んだと記されています。こうしてイスラエルの民は、ついにエジプトを去ることを許されたのです。
急きょ出発するイスラエルの民
イスラエルの人々は、パン種を入れないパン(種なしパン)だけを持って、慌ただしくエジプトを後にしました。この出来事は「過越(すぎこし)」としてユダヤ教の最重要の祝日となり、今日まで受け継がれています。
再び心を変え、追撃するファラオ
しかし物語はここで終わりません。民が去った後、ファラオは「何ということをしてしまったのか」と後悔し、戦車六百台を含む大軍を率いて追撃に向かいました。逃げるイスラエルの民は、紅海(葦の海)のほとりに追い詰められます。
紅海が割れる奇跡
絶体絶命のその時、モーセが杖を掲げると、強い風によって海の水が二つに分かれ、乾いた道が現れました。イスラエルの民はその道を渡り切り、追ってきたエジプト軍は押し戻された海水の中にのみ込まれたといいます。こうしてイスラエルの民は奴隷の身から解放され、約束の地カナンへ向かう長い旅を始めたのです。