エリザベス朝時代(1558年〜1603年)のイングランドにおいて、支配的な文化を形成していたのは、貴族(nobility)とジェントリ(gentry)と呼ばれる地主階級からなる上流社会でした。これらの階層は大きな権力と影響力を持ち、当時の文化的規範や価値観、生活様式の形成に決定的な役割を果たしました。
1. 宮廷と貴族
エリザベス1世の王宮は、エリザベス朝イングランドにおける文化生活の中心でした。女王自身が芸術の庇護者(パトロン)であり、文学・音楽・演劇の発展を積極的に奨励しました。女王の側近を務める廷臣たちは、教養があり洗練された人物であることが求められ、詩作や音楽、舞踏など多様な芸術に精通していることが理想とされました。
2. 地主階級「ジェントリ」
地主や富裕な家系で構成されるジェントリは、宮廷で生まれた文化的な潮流を地方社会へと広める重要な架け橋となりました。彼らは貴族の生活様式や文化的慣習を模範とし、自らの屋敷を地域の文化拠点として整えました。このようにして、宮廷文化が地方へと波及していったのです。
3. 教育と古典的伝統
エリザベス朝時代には、古代ギリシャ・ローマの文学、哲学、歴史に対する関心が再び高まりました。教育は非常に重視され、上流階級の人々は古典教育を徹底的に受けて育ちました。この古典教育への重視が、当時の知的議論や文学作品のあり方を大きく形づくることになりました。
4. 文学
エリザベス朝時代は、イギリス文学の黄金時代とされています。ウィリアム・シェイクスピア、エドmund・スペンサー、クリストファー・マーロウといった著名な作家たちは、古典の伝統に加えて、自身の経験や当時の社会・政治状況から着想を得ました。彼らの作品は支配層の文化的価値観を映し出すと同時に、それを形づくってもいきました。
5. 演劇
エリザベス朝のイングランドでは演劇が大きく花開き、グローブ座やローズ座といった劇場が上流階級に人気の娯楽の場となりました。上演された戯曲はしばしば愛、名誉、権力、社会的ヒエラルキーといったテーマを扱い、支配的文化の関心事を反映していました。
6. 美術と建築
エリザベス朝時代には、視覚芸術は文学や演劇ほど広く行われていませんでしたが、肖像画、宗教画、建築についてはパトロンによる支援が存在しました。古典およびルネサンス様式の影響を受けた当時の建築は、上流階級の富と洗練された趣味を誇示するものでした。
まとめ
エリザベス朝時代の支配的文化は、多様なサブカルチャーや地域ごとの変種、そして下層階級の文化的伝統と共存していました。とはいえ、宮廷と上流階級を中心とする支配的文化は、この時代の文化的景観を形づくる上で計り知れない影響を与えたのです。