実は、古代ローマ人がポモナ(Pomona)のために特定の日を「ポモナの日」として定めたという確かな記録は存在しません。このような言説は、後世に広まった誤解や俗説に基づくものと考えられています。
ポモナとはどんな女神?
ポモナは、果樹、庭園、果樹園を司るローマ神話の女神です。リンゴを象徴とし、豊穣と収穫をつかさどる存在として古くから親しまれてきました。詩人オウィディウスの『変身物語』には、季節の神ウェルトゥムヌスが老婆に姿を変えてポモナに近づき、その心を勝ち取ったという有名な逸話が描かれています。
なぜ「ポモナの日」という誤解が生まれたのか
ポモナは秋の収穫期と深い関わりを持つため、ハロウィン(10月31日)や諸聖人の日(11月1日)と結びつけて語られることがあります。19世紀のアメリカでは、リンゴ食い競争のような収穫祭の遊びが「古代ローマのポモナ祭に由来する」と説明されることもありました。しかし、こうした祭りの歴史的な裏付けは乏しく、現在では学術的に疑問視されています。
現代に残るポモナの足跡
専用の祝日はなかったものの、ポモナの名は現代にも息づいています。果樹栽培学を意味する英語の「ポモロジー(pomology)」は、彼女の名前に由来する言葉です。また、アメリカ合衆国ニューヨーク州のポモナ村など、世界各地の地名にもその名が見られます。
まとめると、ローマ人がポモナのために日を名付けたという事実はなく、ポモナはあくまで果樹と園芸を守護するローマの女神なのです。