結論:いいえ、別の言語です
現代のエジプト人が話している言語は、古代エジプト人の言語とはまったく異なるものです。ピラミッドやツタンカーメン王の時代の人々が使っていた言葉は、今日のエジプトでは日常会話として失われています。
古代エジプトの言語と文字体系
古代エジプト人は、アフロ・アジア語族に属する「古代エジプト語」を使用していました。この言語を書き記すために、次のような複数の文字体系が発達しました。
- ヒエログリフ(神聖文字):記念碑や神殿に刻まれた、絵文字のような格式高い文字
- ヒエラティック(神官文字):筆記を速くするために簡略化された文字
- デモティック(民衆文字):さらに簡素化され、日常の文書や商取引に使われた文字
現代エジプトの言語はアラビア語
一方、現在のエジプトの公用語はアラビア語です。日常生活ではエジプト方言(エジプト・アラビア語)が広く話されており、エジプトは映画やテレビドラマの産業が盛んなことから、この方言はアラブ世界全体で最も影響力のある方言の一つとされています。
なぜ言語は変わったのか
7世紀、アラブ・イスラム勢力がエジプトを征服したことをきっかけに、アラビア語が行政や宗教の言語として導入されました。その後数百年にわたってアラビア語化が進み、古代エジプト語は次第に日常の言葉としての地位を失っていきました。
古代エジプト語の名残——コプト語
ただし、古代エジプト語の血筋が完全に絶えたわけではありません。その直系の子孫であるコプト語は、現在もコプト正教会の典礼言語として生き残っています。礼拝の中で今も聞くことのできる、古代からの貴重な言語の痕跡といえるでしょう。