古代の歴史

ユダヤの伝統が語る、イスラエル人がカナンからエジプトへ移動した理由

ヘブライ聖書に描かれたイスラエル人の移動

ヘブライ聖書(旧約聖書)の記述によれば、イスラエル人が「エジプトをカナンへ移動させた」わけではありません。実際には、現在のパレスチナとイスラエルを含む地域であるカナンからエジプトへと移動したのです。この移動は、ユダヤ民族の歴史における重要な転換点として語り継がれています。

移動のきっかけとなったカナンの飢饉

イスラエル人がエジプトへ向かった直接の理由は、当時カナンを襲った深刻な飢饉です。創世記の物語によると、ヨセフは兄弟たちに売られた後、エジプトでファラオに見込まれて高い地位に就き、飢饉に備えて穀物を備蓄していました。飢えに苦しむ父ヤコブ(イスラエル)とその家族は、食料を求めてエジプトへ移り住むことになったのです。

エジプト滞留がもたらしたもの

当初は一時的な避難のはずだったこの移住も、やがてイスラエル人たちはエジプトに長く留まることになります。聖書の物語では、彼らはやがて奴隷として苦しめられ、モーセに率いられてエジプトを脱出する「出エジプト」へとつながっていきます。こうして、飢饉による移住という一つの出来事が、ユダヤ人のアイデンティティと信仰の基盤を形作る大きな物語の始まりとなったのです。