考古学的発見

プラサイヨーク洞窟――タイ・カンチャナブリー県の先史時代から歴史時代へつながる重要な岩陰遺跡

プラサイヨーク洞窟とは

プラサイヨーク洞窟(Tham Phra Sai Yok)は、タイ王国カンチャナブリー県に位置する重要な考古学遺跡です。クウェー・ノイ川(Khwae Noi River)右岸の石灰岩の丘に開いた洞窟で、川から北東へ約65メートルの地点にあり、洞口は南西方向を向いています。

地形と立地環境

洞窟は石灰岩性の丘陵地帯に位置し、標高は海抜83メートルです。付近を流れる水系はサイヨーク川(クウェー・ノイ川水系)で、洞窟は川沿いの見晴らしの良い場所にあります。

現在の状況

現在、この遺跡は「マハー・チャクリ・シリントーン王女殿下の王室発議による植物遺伝子保存プロジェクト」の管轄区域内にあり、保護・管理が行われています。

地質条件

洞窟は石灰岩の丘の中に形成されています。周辺地域はペルム紀(約2億8600万~2億4500万年前)のラーチャブリー層群に属する石灰岩山脈が広がり、加えてクウェー・ノイ川によって運ばれた堆積物も確認されています。石灰岩地帯特有の溶食作用によって洞窟が発達したと考えられます。

考古学的時代と文化

この遺跡は先史時代および歴史時代にわたって利用されたことが知られており、中石器時代、新石器時代、青銅器時代、さらにアユタヤ時代の文化層が認められます。遺跡の性格としては、住居跡・墓地・要塞という複合的な機能を持っていたと考えられています。

考古学的意義と出土品

1960年から1962年にかけて、タイ・デンマーク合同先史学調査団による発掘調査が実施され、数多くの重要な考古学的資料が出土しました(芸術局第2事務所スパンブリー、2009年)。主な出土品は以下の通りです。

  • 中石器時代の人骨1体
  • 打製石器(石を叩き割るための工具)
  • 円筒形の石製ビーズ(装身具)
  • 住居跡から出土した土器片
  • 動物の骨
  • 淡水産の貝殻
  • 海産の貝殻

これらの出土品は、この洞窟が先史時代から歴史時代に至る長い期間にわたり、人々の生活の場であり、埋葬地であり、さらには防衛上の拠点としても機能してきたことを示しています。内陸部でありながら海産貝殻が出土している点は、当時すでに広域な交易ネットワークが存在していた可能性を示唆する貴重な手がかりといえるでしょう。