エジプトで新たな排水システムが正式に稼働開始し、地下水の水位上昇によって長年脅かされてきた古代遺跡「コム・エル・ショカファ」の地下墓(カタコンベ)を守れる見通しが立った。

2019年3月3日に撮影されたコム・エル・ショカファの地下墓の様子。
エジプト当局は2019年3月3日、アレクサンドリアにて、貴重な観光考古学サイトである約2000年前の地下墓「コム・エル・ショカファ」を、上昇し続ける地下水から保護するための土木工学プログラムの開始式典を行った。米国国際開発庁(USAID)の支援を受けて実施されたこの近代化プロジェクトの工事は2017年11月に着手され、遺跡には6基の排水ポンプが設置された。「考古学と土木工学を組み合わせた、他に類を見ないユニークなプログラムだ」と、プロジェクトに参加したコンサルティングエンジニアのトーマス・ニコルズ氏は語った。
米国が1億ドル以上を拠出
ローマ帝国時代の西暦1世紀から4世紀にかけて使用されたコム・エル・ショカファの地下墓は、1900年に発見された。エジプト、ローマ、ギリシャの三つの様式が融合したこの遺跡は、石灰岩の岩盤を掘削して造られた3つの地下墳墓群から構成され、当時の富裕層の家族たちの墓が納められている。アレクサンドリアにおける最も有名かつ重要な地下墓として高く評価されている。

2019年3月3日、コム・エル・ショカファの地下墓を訪れる観光客 ©Mohamed el-Shahed / AFP
1985年、エジプト当局は恒久的なポンプシステムを用いた地下水排水プログラムを開始した。その後、2015年にUSAIDがこのプログラムの近代化への資金提供に合意した。「100年以上にわたりこの地域を脅かし続けてきた地下水問題に終止符を打つべく、直ちにコム・エル・ショカファでの新プロジェクトの開始を要請した」と、開始式典の場でエジプトのハレド・エル=エナニー考古相は述べた。また、在エジプト米国大使館のトム・ゴールドバーガー臨時代理大使は、このプロジェクトについて「文化遺産の保存におけるエジプト政府への米国の支援の一例だ」とコメントした。同氏によると、ワシントンは「過去数十年にわたり」この分野に「1億ドル以上(約8800万ユーロ)」を投じているという。

2019年3月3日に撮影された、コム・エル・ショカファの地下墓内にある像。© Mohamed al-Shahed / AFP

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水位上昇に脅かされる観光地
エジプトは近年、2011年の民衆蜂起以降低迷が続く観光業の復活を目指し、新たな考古学的発見や古代遺跡の修復プロジェクトに関する情報発信を積極的に強化している。しかしその一方で、ルクソールのカルナック神殿やギザのスフィンクス台地をはじめ、複数の古代遺跡が、建物の基礎を弱体化させる地下水の水位上昇という深刻な脅威にさらされている。地下水の上昇には、大量の水を消費する灌漑システム、都市化の進行、下水管からの漏出、気候変動に伴う海面上昇、人工ダムの影響など、さまざまな要因が絡み合っていると指摘されている。